コラム2020/03/18
介護保険でたりないところをカバーできる!?
介護保険でたりないところをカバーできる!?
重度訪問介護について
一人暮らし、または同居する家族の力だけでは介護を担いきれないとお悩みをいただくことは少なくありません。特に65歳未満だと介護保険適用サービスも使えないので悩ましいと思います。今回は全ての人が対象ではないですが、介護保険適用サービスとの併用も可能な重度訪問介護についてお話させていただきます。
重度訪問介護ってなに?
重度訪問介護とは、重度の肢体不自由または知的・精神障害によって、常に介護や見守りが必要な人が受けられる介護サービスを指します。 通常、高齢者に提供する介護サービスは老人福祉法に基づくものですが、重度訪問介護は障害者福祉に該当するもので、介護保険とは別の枠組み(障害福祉サービス)になります。 厚生労働省が定める重度訪問介護の対象者は、以下のとおりとなっています。
1.障害者区分4以上の四肢不自由者または知的障害者・精神障害者であること
2.二肢以上に麻痺等があること
3.障害程度区分の認定調査項目のうち「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「できる」以外と認定されていること
上記の条件を満たす人は、65歳以上の高齢者でなくとも重度訪問介護のサービスが受けられます。 具体的には、交通事故などで四肢を欠損、または脊椎損傷によって全身まひになった人や、筋萎縮性側索硬化症(ALS)・パーキンソン病・リウマチなどの難病に罹患して寝返りを打つことも難しいような重度の病気の人、そして重度の知的障害・精神障害を持っている人が対象です。
重度訪問介護の特徴って?
大きな特徴は、利用者1割負担、24時間体制の訪問介護サービスが受けられるということ。重度訪問介護では、食事、排せつ、入浴介助から、調理、清掃、移動時の付き添いなど、生活上のあらゆる動作に対してヘルパーが介助をおこないます。
通常の訪問介護では、ヘルパーはタイムテーブルにしたがって各家庭を巡回するため、サービスを受けられる時間は1日1時間程度の場合が一般的です。
重度訪問介護では、体位変換(寝返りの補助)も含めた手厚い介護が必須となるため、ヘルパー3人による8時間ずつの交代制で介護にあたります。ただし、同居する家族がいる場合、昼間はヘルパーに来てもらい、夜間は家族で介護にあたる家庭も多いようです。
このような手厚い介護システムによって、重度の病気で寝たきりになっても、ヘルパーのサポートを受けながら一人暮らしをしている人もいます。 サービスを利用できる時間は、1時間未満から最大24時間までです。
介護保険との併用はできるの?
重度訪問介護は障害福祉サービスに該当するため、介護保険の適用はできません。 前々から重度訪問介護をサービス受けていた人が65歳の誕生日を迎えた場合、これまでと同等のレベルの介護サービスが可能であれば、障害福祉サービスから介護保険サービスへと切り替わるのが一般的です。
しかし、介護保険のサービスでは補えないような支援や介護が必要な場合は、障害福祉サービスと介護保険の併用が認められています。また、65歳を過ぎた高齢者が、重度の要介護状態になった場合は、病気の種類、状態、要介護度などによって、重度訪問介護の適用が認められる場合もあります。
障害福祉サービス適用の可否や、両サービスの併用については、担当するケアマネジャーが作成するケアプランに基づき、住まいのある市町村が判定をします。ただし高齢による介護の必要と、病気による介護の必要との線引きが難しいこと、また担当するケアマネジャーの障害福祉への理解・知識も判定に左右してくるため、よほど深刻な要介護状態でないかぎり、認定に個人差が生まれているようです。
まとめ
重度訪問介護は、若くして重い障害を患ってしまった人々の家での生活を少しでも楽にするサービスですが、65歳以上の方でも条件次第では介護保険適用サービスとの併用も可能です。 介護する家族が重い障害を患っている場合は、「障害福祉サービスでできること」と「介護保険適用サービスでできること」について知識を身につけたうえで、ケアマネジャーさんと話してみましょう。