在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/06/26
内縁夫との関係性に配慮しながら精神科在宅支援を継続した双極性障害患者の事例
要点サマリー
うつ病および双極性障害により外来通院継続が不安定となっていた66歳女性に対し、訪問診療を導入した事例である。同居する内縁夫は支援意欲を持っていた一方で、対人面で独特なこだわりや強い主張があり、支援者側との調整が必要であった。在宅医療では精神科介入を中心に、本人の精神状態安定と家族関係調整を並行して行った。ケアマネジャーにとっては、精神疾患ケースでは本人支援だけでなく、支援者との関係性そのものを支援対象として捉える視点が重要となる症例である。
基本情報
年齢・性別:66歳・女性
居住地:該当なし
世帯構成:その他
キーパーソン:内縁夫(同居)
保険・福祉情報
医療保険:生活保護
介護保険:未利用
診断名
・うつ病
・双極性障害
導入の背景
以前より気分の波が大きく、抑うつ状態や意欲低下により外出困難となることが増えていた。通院予約日に外出できないこともあり、徐々に定期的な外来受診継続が困難となっていた。
同居する内縁夫が日常生活支援を担っていたが、本人への関わり方や医療者への要望が独特であり、支援者間で認識のずれが生じやすい状況がみられていた。
本人としては住み慣れた自宅で生活を継続したい希望があり、通院負担軽減と精神科的フォロー継続を目的として、訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、精神状態や睡眠状況、生活リズムを継続的に確認しながら、薬物調整を含めた精神科的介入を行った。
当初は内縁夫から医療者への要望や不満表出が強くみられる場面もあったため、本人支援だけでなく、内縁夫との信頼関係構築にも重点を置いた。
医療側から一方的に支援方針を提示するのではなく、本人、内縁夫双方の意向を確認しながら調整を進めたことで、徐々に関係性は安定した。
結果として、訪問診療導入後は精神状態の大きな悪化頻度が減少し、在宅生活継続につながっている。
医療対応の詳細
主病
うつ病、双極性障害
対応内容
・精神状態および気分変動の継続的評価
・睡眠状況や生活リズムの確認
・服薬状況確認および薬物調整
・精神科専門医との連携
・内縁夫を含めた支援方針共有
医療処置
該当なし
支援のポイント
・外来通院困難を前提とした精神科在宅支援
・本人の生活継続希望を尊重した介入
・内縁夫との関係性構築を重視した支援設計
・支援者側の価値観や性格特性を踏まえた調整
・本人のみならず家族全体を対象とした支援
・精神科連携を含めた継続フォロー体制整備
考察
本症例は、精神疾患患者支援において、家族、同居者との関係調整が在宅療養継続に大きく影響した事例である。
精神科領域では、症状そのものだけでなく、支援者側の性格傾向やコミュニケーション特性によって、医療介入の難易度が大きく変化することがある。特に支援意欲が強い家族ほど、支援方針へのこだわりや不安表出が強くなる場合も少なくない。
本症例では、内縁夫を対応困難な存在として扱うのではなく、本人を支えようとしている支援者として理解し、丁寧な関係構築を行ったことが、結果的に在宅療養安定につながった。
ケアマネジャーにとっては、精神疾患ケースにおいて、本人だけでなく支援者との関係性そのものを調整対象として捉える視点が重要である。
付記情報
・診療科:精神科、内科
・病態・症状:その他
・世帯構成:その他