コラム2026/05/18
お金が壁になったときにできる工夫
在宅医療を続けるために知っておきたい制度の視点
在宅医療は、通院が難しくなった方にとって、住み慣れた場所で生活を続けるための大切な支えです。
一方で現場では、
「必要だと思うが、費用が続くか不安」
「導入したいが、家計への負担が大きい」
といった理由から、在宅医療の導入や継続を迷うケースが少なくありません。
在宅生活では、医療費だけでなく、
・介護費
・食費
・光熱費
・福祉用具レンタル代
・移動や付き添いにかかる費用
など、さまざまな支出が重なります。
特に、高齢者夫婦のみの世帯や年金収入が限られた家庭では、毎月の自己負担が生活に大きく影響することがあります。
制度を知ることで選択肢が広がる
こうした経済的な不安に対しては、制度を正しく活用することで負担を抑えられる場合があります。
実際には、費用面の見通しが立たないまま在宅医療をあきらめてしまうケースもありますが、支援制度を知ることで導入や継続につながることがあります。
在宅医療に関連する主な制度
在宅医療や在宅介護を支える制度として、次のようなものがあります。
高額療養費制度
医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、上限を超えた分が払い戻される仕組みです。
継続的な医療が必要な方にとって、月ごとの負担見通しを立てるうえで重要な制度です。
高額介護サービス費制度
介護保険サービスの自己負担額が一定額を超えた場合に、負担を軽減する仕組みです。
介護サービス利用が増えるケースでは、知っておきたい制度の一つです。
医療・介護合算制度
医療費と介護費の両方がかかる世帯において、年間の自己負担額を軽減する仕組みです。
医療と介護の双方を利用している高齢者では、確認しておきたい制度です。
居宅療養管理指導
医師、薬剤師、管理栄養士などが訪問し、療養上の管理や指導を行う仕組みです。
在宅療養の質を支える支援であり、必要に応じて活用が検討されます。
導入事例1
費用の見通しが立ったことで在宅導入につながったケース
79歳女性。
心不全で入退院を繰り返しており、娘様は「在宅医療にしたいが費用が不安」と悩んでいました。
そこでソーシャルワーカーが高額療養費制度を案内し、自己負担額の見通しを共有。
その結果、「続けられる範囲であれば在宅で支えたい」と考えられるようになり、在宅医療の導入につながりました。
導入事例2
制度の案内が継続への安心につながったケース
84歳男性。
妻と2人暮らしで、訪問診療と訪問看護を導入していましたが、妻は「家計がもたないのではないか」と不安を抱えていました。
そこで相談支援の中で医療費控除について案内があり、手続きを行った結果、還付を受けることができました。
制度を知ったことで、妻は「これなら続けていけるかもしれない」と安心感を持つことができました。
費用の不安を一人で抱え込まないことが大切
在宅医療を続けるうえで、経済的な不安は非常に大きな要素です。
しかし、費用面の不安があるからといって、すぐに在宅医療をあきらめなければならないとは限りません。
大切なのは、早い段階で
・ケアマネジャー
・ソーシャルワーカー
・地域包括支援センター
・医療機関の相談窓口
などにつなぎ、使える制度を一緒に確認することです。
まとめ
在宅医療には、医療費だけでなく生活全体に関わる費用負担が伴います。
そのため、家族が不安を感じるのは自然なことです。
一方で、支援制度を正しく活用することで、自己負担の見通しが立ち、在宅療養を続けやすくなることがあります。
経済的な理由だけで選択肢を狭めないためにも、必要な情報を早めに届けることが重要です。
制度の橋渡しをすることも、在宅を支える大切な支援の一つです。