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「胸やけ」「胃もたれ」で終わらせない  高齢者に多い食道・胃の疾患を在宅現場で見抜く視点

コラム2026/05/11

「胸やけ」「胃もたれ」で終わらせない  高齢者に多い食道・胃の疾患を在宅現場で見抜く視点

在宅や施設の現場では、
「最近食事量が減った」
「胸やけが続く」
「胃が重いと言う」
といった訴えを耳にする場面が少なくありません。

こうした症状は、単なる消化不良や加齢による変化として受け止められやすい一方で、逆流性食道炎や胃炎、さらには悪性疾患が背景にある可能性もあります。

特に高齢者では、症状の訴えが曖昧であったり、認知機能低下やコミュニケーションの問題から不調が表面化しにくいこともあります。
そのため、日常的に関わる医療・介護職が小さな変化に気づくことが重要です。

今回は、高齢者にみられやすい食道・胃の疾患について、現場で意識したいポイントを整理します。

逆流性食道炎は高齢者で見え方が異なることがある

逆流性食道炎は、胃酸や胃内容物が食道へ逆流し、食道粘膜に炎症を起こす疾患です。
加齢に伴い、胃と食道の境目にある下部食道括約筋の働きが弱くなることで起こりやすくなります。

一般的な症状としては、

・胸やけ
・みぞおちの不快感
・食後の胸のつかえ感
・酸っぱいものが上がってくる感覚
・慢性的な咳
・声のかすれ

などがあります。

一方で高齢者では、典型的な胸やけを訴えないことも少なくありません。
その場合、

・食事量の低下
・食後の不機嫌や不穏
・横になることを嫌がる
・夜間の咳込み
・原因不明の体重減少

といったかたちで現れることがあります。

生活状況と症状のつながりを見ることも重要

逆流性食道炎を考える際には、症状だけでなく生活背景も確認したいところです。

たとえば、

・食後すぐ横になっていないか
・前かがみ姿勢が増えていないか
・脂っこい食事や過食がないか
・便秘による腹圧上昇がないか

といった点は、症状悪化の要因になることがあります。

見逃したくない食道がん

食道がんは初期症状に乏しく、進行するまで発見されにくい疾患です。

注意したい症状としては、

・食事がつかえる感じ
・飲み込みにくさの進行
・体重減少
・声のかすれ
・胸背部痛

などがあります。

また、現場では
「最近、食事に時間がかかる」
「固形物を嫌がるようになった」
といった変化が重要な手がかりになることがあります。

飲み込みづらさを単なる加齢や嚥下機能低下だけで説明せず、症状が徐々に進行していないかをみる視点が必要です。

胃炎も低栄養につながる見逃せない疾患

胃炎は胃粘膜に炎症が生じた状態で、急性と慢性に分かれます。

急性胃炎の背景としては、

・飲酒
・薬剤
・細菌感染
・ストレス

などがあり、慢性胃炎では、

・ヘリコバクター・ピロリ菌感染
・長期にわたる粘膜障害

などが関係します。

慢性胃炎では、

・胃もたれ
・食欲低下
・吐き気
・腹部不快感

などが続き、結果として栄養状態の悪化につながることがあります。

高齢者では、「食欲がない」「少量しか食べられない」状態が長く続くことで、低栄養やサルコペニアの要因になる点も重要です。

胃がんは全身状態の変化として現れることがある

胃がんは早期では自覚症状がほとんどなく、進行しても、

・胃の不快感
・食欲低下
・体重減少
・貧血
・吐き気

など、胃炎や胃潰瘍と区別しにくい症状が多いのが特徴です。

在宅や施設では、はっきりとした訴えよりも、

・急激な食事量低下
・原因不明の体重減少
・顔色不良
・活動性低下

といった全身状態の変化として気づかれることも少なくありません。

在宅・介護現場で意識したい観察ポイント

食道や胃の疾患は、「よくある不調」として見逃されがちです。
しかし実際には、生活の質や栄養状態、さらに生命予後にも影響しうる重要な問題です。

現場では、次のようなポイントを意識することが大切です。

観察ポイント

・食事量や食事内容の変化
・食後の表情や不快感の訴え
・飲み込みづらさの進行
・体重変化
・夜間咳嗽や逆流症状
・原因不明の不穏や活動量低下

連携のポイント

・「様子を見る」で終わらせず、医療へ情報共有する
・栄養状態の変化を早期に共有する
・嚥下障害との鑑別を意識する

まとめ

高齢者では、「食べにくい」「胸やけがする」とはっきり訴えられないことも多くあります。
そのため、食事量低下や元気のなさが最初のサインとなる場合もあります。

小さな変化を見逃さず、早期に情報共有し、必要な医療につなげること。
それが結果として、本人の生活の質を守ることにつながります。