在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/04/15
褥瘡と廃用症候群により通院困難となった高齢女性に対し、家族調整を軸に在宅ケア体制を構築した事例
要点サマリー
褥瘡と廃用症候群によりADLが低下し、外来通院が困難となった高齢女性に対し、訪問診療を導入した事例である。長男と同居しているものの、日中は独居となる生活環境であり、在宅でのケア体制整備が課題であった。別居する長女をキーパーソンとして支援導線を整理し、医療と介護を組み合わせた在宅ケア体制を構築した。ケアマネジャーにとっては、褥瘡管理そのものだけでなく、生活環境に即した支援体制を整える視点が重要であることを示す症例である。
基本情報
年齢・性別:74歳・女性
居住地:該当なし
世帯構成:親子
キーパーソン:長女(別居)
保険・福祉情報
医療保険:後期高齢者医療保険2割負担
介護保険:要介護4
診断名
・褥瘡
・廃用症候群
導入の背景
廃用症候群により身体機能が低下し、長時間の移動や外出が困難となっていた。さらに褥瘡が出現し、定期的な創部評価と処置が必要であったが、通院による管理は現実的に難しい状況であった。
長男と同居しているものの、日中は本人が独居となる時間帯が多く、褥瘡悪化や転倒など在宅生活上のリスクも懸念された。
別居する長女が調整役となり、医療と介護サービスを組み合わせた支援体制を整えるため、訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、褥瘡の状態を定期的に評価し、在宅で可能な処置とケア方針を明確化した。感染兆候や創部悪化の有無を確認しながら、褥瘡管理を継続した。
また、廃用によるADL低下に対しては、生活動作の維持と介護負担軽減を意識した支援を行った。
長女を窓口として家族内での役割分担を整理し、ケアマネジャー、訪問看護、ヘルパーとの連携を強化することで、日中独居の状況でも在宅生活が継続できる体制を構築した。
医療対応の詳細
主病
褥瘡、廃用症候群
対応内容
・褥瘡の創部評価と処置方針の共有
・感染兆候の早期把握
・体位変換やスキンケアに関する指導
・廃用進行を防ぐ生活支援調整
医療処置
褥瘡処置
支援のポイント
・通院困難となった段階で訪問診療を導入し、褥瘡管理を在宅化する
・同居家族がいても日中独居となる生活背景を踏まえて支援設計を行う
・別居する長女をキーパーソンとし、支援導線を明確化する
・医療処置だけでなく、介護サービスとの連携により在宅ケア体制を構築する
・褥瘡悪化予防と廃用進行予防を同時に見据えて支援を組み立てる
考察
本症例は、褥瘡という医療的課題に対し、単に処置を提供するだけでなく、生活環境に即した支援体制を整えることが在宅療養継続の鍵となった事例である。日中独居の時間帯があることで、創部悪化や転倒、介護負担の偏りといった生活上の課題が複合していた。
ケアマネジャーにとって重要なのは、疾患管理の必要性に加えて、日中独居や家族役割の偏りといった生活条件を踏まえ、医療と介護を束ねる導線を設計することである。訪問診療導入により、褥瘡管理を安定化させると同時に、在宅ケア体制を構築することで生活継続が可能となった事例である。
付記情報
・診療科:内科、皮膚科
・病態・症状:褥瘡、廃用症候群、ADL低下
・世帯構成:親子