在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/04/15
末期すい臓がん患者に対し、在宅看取りを前提とした緩和ケア目的で訪問診療を導入した事例
要点サマリー
末期すい臓がんに加え、リンパ節転移、骨転移を伴い、退院後は自宅での看取りを強く希望した高齢男性に対して訪問診療を導入した事例である。在宅医療では疼痛や全身倦怠感などの苦痛緩和を中心に支援し、妻の介護負担軽減も含めた体制構築を行った。ケアマネジャーにとっては、看取りを前提としたサービス調整と家族支援が重要となる症例である。
基本情報
年齢・性別:82歳・男性
居住地:該当なし
世帯構成:夫婦のみ
キーパーソン:妻(同居)
保険・福祉情報
医療保険:後期高齢者医療保険1割
介護保険:申請中
診断名
・すい臓がん末期
・リンパ節転移
・骨転移
導入の背景
すい臓がん末期の状態で転移も進行しており、入院加療を経て、退院後の療養場所として本人は自宅で最期まで過ごすことを希望していた。
病状としては積極的治療よりも緩和ケアが中心となる段階であり、外来通院は困難であった。妻が主介護者であるが、高齢夫婦のみの世帯であり、介護負担の増大が懸念されたため、在宅看取りを前提とした訪問診療導入が必要と判断された。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、疼痛管理を中心とした緩和ケアを軸に、全身状態の観察を継続した。骨転移による痛みや活動性低下に対して薬物調整を行い、本人の苦痛軽減を優先した支援を行った。
また、妻への説明と精神的支援を重ねながら、急変時対応や看取りの流れについても共有した。介護保険申請中であったため、今後のサービス導入を見据え、ケアマネジャーと連携しながら体制整備を進めている。
医療対応の詳細
主病
末期すい臓がん
対応内容
・疼痛管理(骨転移による痛みを含む)
・食欲低下、倦怠感への対症的緩和
・褥瘡予防を意識した全身管理
・急変時対応と在宅看取り体制の整理
医療処置
該当なし
支援のポイント
・退院後の療養場所として在宅看取りを明確に希望した段階で訪問診療導入を検討する
・緩和ケアを中心に、苦痛を最小限にする医療介入を行う
・妻が主介護者となるため、介護負担軽減の視点を重視する
・介護保険申請中であることを踏まえ、早期のサービス調整を進める
・看取りに向けた意思確認と多職種連携を継続する
考察
本症例は、末期がん患者が治療継続そのものではなく、どこで最期を迎えたいかを重視した事例である。訪問診療を導入することで、苦痛緩和を中心とした医療を在宅で提供し、本人の価値観に沿った療養生活を支えることが可能となった。
ケアマネジャーにとっては、看取り期におけるサービス導入の迅速化と、介護者である妻への支援が在宅継続の鍵となる。高齢夫婦のみの世帯では、医療的支援と家族支援を同時に進める視点が重要である。
付記情報
・診療科:緩和ケア科、内科
・病態・症状:がん、疼痛、全身衰弱、終末期
・世帯構成:夫婦のみ