在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/04/24
未治療期間が長い精神疾患患者に対し、精神科連携と信頼関係構築を目的に訪問診療を導入した事例
要点サマリー
統合失調症と不安神経症を背景に、本人希望で長期間精神科通院を行わず未治療状態が続いていた高齢女性に対し、不穏状態の増悪を契機に訪問診療を導入した事例である。外来受診への抵抗が強いケースでは、在宅での信頼関係構築が治療導入の鍵となる。精神科との連携を軸に、本人の意向を尊重しながら介護負担軽減と在宅生活継続を支援した。ケアマネジャーにとっては、精神症状と生活課題を同時に捉えた支援体制づくりが重要となる。
基本情報
年齢・性別:70歳・女性
居住地:該当なし
世帯構成:夫婦のみ
キーパーソン:次女(別居)
保険・福祉情報
医療保険:国民健康保険2割
介護保険:要支援2
診断名
・統合失調症
・不安神経症
・変形性膝関節症
導入の背景
統合失調症および不安神経症があるものの、本人の希望により精神科通院を行っておらず、未治療期間が長期に及んでいた。近時、不穏状態が続き、家族内での対応が困難となった。
夫婦のみの世帯であるが、夫の介護負担が増大しており、別居の次女も支援調整に関与していた。外来受診への抵抗感が強い状況下で、在宅で医療介入を開始し、精神科治療につなげる目的で訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、まず本人との信頼関係構築を優先し、生活状況や精神症状の評価を段階的に行った。精神科との連携を視野に入れながら、本人が受け入れ可能な形で医療介入を進めた。
家族に対しては、不穏時の対応方法や見守り体制について助言し、夫の介護負担軽減を図った。次女とも情報共有を行い、在宅での支援体制を整理した。
精神症状への医療的関与が開始され、在宅療養継続に向けた基盤が整備された。
医療対応の詳細
主病
統合失調症、不安神経症
対応内容
・精神症状の評価と経過観察
・精神科との連携調整
・本人の受療拒否感に配慮した診療導入
・家族支援および介護負担軽減の助言
医療処置
該当なし
支援のポイント
・未治療期間が長い精神疾患患者に対し、在宅での介入開始を検討する
・外来受診困難例では、訪問診療を治療導入の入口として活用する
・精神科連携を軸にしながら、段階的に医療介入を進める
・本人希望を尊重し、信頼関係構築を優先して関わる
・夫の介護負担軽減を意識し、家族支援を並行して行う
・別居家族である次女を含めた情報共有体制を整える
考察
本症例は、精神科未治療期間が長く、外来受診への抵抗が強い患者に対し、訪問診療が治療導入の入口となった事例である。精神症状の不安定化は家族負担を急速に高めるため、早期の医療介入と支援体制構築が重要である。
在宅で信頼関係を築きながら精神科連携を進めることで、本人の意向を尊重しつつ治療につなげる可能性が高まる。ケアマネジャーにとっては、精神症状と生活支援を分けずに捉え、家族支援を含めた統合的な支援設計を行うことが求められる。
付記情報
・診療科:内科、精神科
・病態・症状:不穏状態の持続、精神科未治療期間あり、受診抵抗
・世帯構成:夫婦のみ