在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/04/08
超高齢認知症患者に対し、体力低下を契機に訪問診療を導入し、在宅生活継続と看取り体制を整えた事例
要点サマリー
認知症に加え、変形性股関節症、変形性膝関節症を併存し、体力低下により外来通院が困難となった98歳女性に対し、訪問診療を導入した事例である。在宅医療では慢性疾患管理を基盤に、低栄養への対応と将来的な在宅看取りも視野に入れた支援体制を構築した。ケアマネジャーにとっては、同居家族の介護負担軽減と、別居家族を含めた意思決定支援が重要となる症例である。
基本情報
年齢・性別:98歳・女性
居住地:該当なし
世帯構成:親子
キーパーソン:長女(別居)
保険・福祉情報
医療保険:後期高齢者医療保険1割
介護保険:要介護2
診断名
・認知症
・変形性股関節症
・変形性膝関節症
導入の背景
超高齢であり、認知症による生活機能低下に加え、下肢関節疾患による歩行困難も重なっていた。体力低下が進行し、外来通院の継続が困難となった。
次女世帯と同居していたが、介護負担は徐々に増大しており、本人の生活の場を維持しながら医療的支援を継続する必要があった。長女は別居であるが意思決定支援の中心となるため、家族間で方針共有を行いつつ訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、慢性疾患管理と全身状態の安定化を中心に経過観察を行った。活動量低下に伴う低栄養リスクが高く、食事摂取状況や体重変動を評価しながら、栄養面での支援を行った。
また、将来的な急変や看取りの可能性も踏まえ、家族と在宅療養の方向性について早期から共有を進めた。介護者である次女世帯の負担軽減も意識し、介護サービスと連携しながら在宅生活を継続している。
医療対応の詳細
主病
認知症、変形性股関節症、変形性膝関節症
対応内容
・慢性疾患管理および全身状態の定期評価
・歩行困難に伴う活動量低下への配慮
・低栄養リスクに対する経過観察と栄養支援
・急変時対応を含めた在宅看取り体制の整理
・介護者への説明と負担軽減支援
医療処置
該当なし
支援のポイント
・体力低下により外来継続が困難となった段階で訪問診療導入を検討する
・慢性管理に加え、低栄養対応を重要課題として位置づける
・超高齢であることを踏まえ、在宅看取りも視野に入れた体制整備を進める
・同居介護者である次女世帯の負担軽減を継続的に評価する
・別居の長女をキーパーソンとし、意思決定支援と方針共有を行う
・本人の生活の場を守ることを前提に、医療と介護の連携体制を整える
考察
本症例は、超高齢認知症患者において、外来通院が困難となった段階で訪問診療へ移行し、生活の場を維持した事例である。認知症や関節疾患そのものに加え、低栄養や介護負担といった生活課題が在宅継続の鍵となっていた。
訪問診療を導入することで、医療的管理を在宅で継続しながら、本人の生活支援と将来的な看取りへの備えを進めることが可能となった。ケアマネジャーにとっては、超高齢世帯では医療、介護、家族支援を個別に捉えるのではなく、意思決定支援を含めて統合的に導線設計することが重要である。
付記情報
・診療科:内科、整形外科
・病態・症状:認知症、運動器疾患、低栄養リスク
・世帯構成:親子