在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/04/08
脊柱管狭窄症と腰椎圧迫骨折により退院後の通院が困難となった高齢男性に対し、夫婦世帯で訪問診療を導入した事例
要点サマリー
腰痛症、脊柱管狭窄症、腰椎圧迫骨折により移動能力が低下し、退院後の外来通院が困難となった夫婦のみ世帯の高齢男性に対し、訪問診療を導入した事例である。在宅医療では慢性疼痛管理と廃用予防、褥瘡予防を中心に支援を行い、主介護者である妻の負担軽減を意識した体制構築を進めた。ケアマネジャーにとっては、整形外科疾患における通院困難を生活機能低下の表れとして捉え、医療と介護の連携で在宅生活を支える視点が重要となる症例である。
基本情報
年齢・性別:78歳・男性
居住地:該当なし
世帯構成:夫婦のみ
キーパーソン:妻(同居)
保険・福祉情報
医療保険:後期高齢者医療保険2割
介護保険:要介護3
診断名
・腰痛症
・脊柱管狭窄症
・腰椎圧迫骨折
導入の背景
腰椎圧迫骨折を契機に腰痛が増悪し、脊柱管狭窄症による歩行困難も重なったことで、退院後の外来通院が現実的に困難となった。夫婦のみの世帯であったが、妻も高齢であり、通院介助が継続的な負担となる状況であった。
本人は可能な限り自宅で生活を継続したい意向が強く、退院後の医療的フォローと生活支援を両立する必要があったことから、訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、疼痛の評価と内服調整を行いながら、在宅での生活機能維持を支援した。移動能力低下により活動量が減少していたため、慢性疼痛への対応だけでなく、廃用症候群の進行予防も意識して経過をみた。
また、長時間の臥床や体動低下に伴う褥瘡発生リスクが高かったため、介護サービスと連携し、体位変換や生活環境調整も進めた。
妻に対しては介護負担の状況を定期的に確認し、無理のない支援体制となるようケアマネジャーと協働しながら、在宅療養継続を支えている。
医療対応の詳細
主病
腰椎圧迫骨折、脊柱管狭窄症
対応内容
・慢性疼痛の管理と薬物調整
・活動量低下に伴う廃用予防の視点での経過観察
・褥瘡リスク評価と予防的関わり
・主介護者である妻への状況説明と負担軽減支援
医療処置
該当なし
支援のポイント
・退院後の通院困難を契機に、早期に訪問診療への切り替えを検討する
・整形外科疾患に伴う生活機能低下を、在宅医療介入の必要性として整理する
・疼痛管理のみでなく、廃用予防や褥瘡予防まで含めて支援設計を行う
・妻をキーパーソンとして、介護負担の程度を継続的に確認する
・医療と介護の役割分担を整理し、本人の在宅生活希望を支える体制を構築する
考察
本症例は、整形外科疾患による移動能力低下が通院困難という形で顕在化し、在宅療養への移行が必要となった事例である。腰椎圧迫骨折や脊柱管狭窄症では、疼痛や歩行障害によって退院後の外来継続が難しくなりやすく、通院の可否そのものが生活機能低下の指標となる。
訪問診療を導入することで、疼痛管理と生活機能維持を両立しながら、本人の希望する在宅生活を継続することが可能となった。ケアマネジャーにとっては、退院後の生活課題として疼痛、廃用、褥瘡、介護負担を総合的に捉え、医療と介護を一体化して支援導線を設計することが重要である。
付記情報
・診療科:内科、整形外科
・病態・症状:骨折、慢性疼痛、廃用リスク
・世帯構成:夫婦のみ