コラム2020/02/10
在宅医療にかかる費用~「最期まで自宅」はお金がかかる?~
在宅医療にかかる費用「最期まで自宅」はお金がかかる?
在宅医療はご自宅で療養生活を過ごしたい方にとって、頼もしいしくみですが、費用を気にされる方も多いのではないでしょうか。今回は在宅医療にかかる一般的な費用について、お話させていただきます。
在宅医療のベースは訪問診療と訪問看護の費用
医師と看護師の定期的な訪問による費用は必ずかかることになります。訪問の回数は、事前に医師や看護師、ケアマネージャーともよく相談して決めます。病状が安定していれば訪問診療は1カ月に2回、訪問看護は1カ月に2回(隔週1回)程度が一般的とされています。積極的に治療が必要な病気や、医療処置が必要な場合には、病態に応じて訪問診療や、訪問看護の回数は増えます。たとえば、がんの終末期の場合、痛みやつらい症状が出ると、それを抑える治療のために、訪問診療が毎日のようにおこなわれることもあります。
例)1か月に訪問診療2回 訪問看護2回 訪問の場合
¥8,000円程度(1割負担の場合)
例)1か月に訪問診療4回 訪問看護8回 訪問の場合
¥13,000円程度(1割負担の場合)
※1 医療保険負担の割合(1割から3割)、障害手帳の有無などにより負担額が変わります。
※2 訪問する回数や治療内容 (在宅酸素・中心静脈栄養など)で医療費が変わります。
基本的な費用に加え、使った分の薬代(薬剤料)など別途かかります。また、重症化すると在宅でさまざまな医療機器を使うことがあり、使い方の指導や管理に対して在宅療養指導管理料が加算されることになります。例えば、在宅酸素療法、高カロリー輸液、経管栄養法などへの指導・管理があります。このうち、経管栄養法のための「経腸栄養輸液セット」など、医療機器そのものに特定保険医療材料料がかかるものもあります。また、がんの末期に、総合的な在宅医療計画を立てたうえで、一定以上の頻度で訪問診療や訪問看護を受けると、ターミナルケアである在宅末期医療総合診療料が加わることがあります。
以上は在宅医療としての費用であり、実際には多くのケースで介護にかかわる費用も発生します。こうなると費用負担が不安になります。しかし、高額療養費制度により、1カ月当たりの自己負担額には上限が決められています。
支払う医療費が高額になった場合、自己負担額の上限額
70歳以上の多くの人の上限は1万8000円(2020年2月現在)
「安定した状態」なら医療費はあまりかからない
例1.85歳男性 月1訪問診療と月2回の訪問看護を利用
認知症のため通院が難しくなり「24時間みてくれるお医者さんがほしい」と在宅医療に切り替え、積極的な検査や治療は選択しないことで、上記の訪問頻度で体調は安定しています。
例2.80歳女性 月2訪問診療と月4回の訪問看護を利用
脳梗塞後の療養で在宅医療を始め、まひなどの症状への対応がメインで、上記の訪問頻度で体調は安定している。
上記の例1.2のケース(自己負担額は1割負担の場合)
一般的に1か月に7000円~8000円程度です。
在宅医療は、医師や看護師による定期的な治療や専門的な指導によって、「安定した状態」が長く続くことをめざしています。病気を合併しないようにすることが、医療費の負担を軽減することにつながります。訪問診療の費用についてのご不明点があれば、在宅医療推進部までお問い合せください。