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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

見逃しがちなラクナ梗塞の原因と予防法

コラム2025/01/10

見逃しがちなラクナ梗塞の原因と予防法

ラクナ梗塞とは?

ラクナ梗塞は、小さな血管が詰まることで脳に小さな梗塞(壊死した組織)ができる脳卒中の一種です。

「ラクナ」とはラテン語で「小さな湖」を意味し、詰まった血管が原因で脳の深部に小さな空洞ができることからこの名前が付けられました。

高血圧や糖尿病、動脈硬化などの慢性的な疾患と深い関連があります。

ラクナ梗塞の特徴

小さな血管が原因

主に脳の深部(視床、脳幹、基底核など)で、太い動脈ではなく、微細な血管(穿通枝動脈)が詰まることが特徴です。

症状が軽い場合が多い

大きな脳梗塞に比べて症状が軽く、場合によっては気付かないこともあります。

しかし、複数回繰り返すと症状が蓄積し、認知症や歩行障害などの後遺症を引き起こすリスクがあります。

脳卒中の一形態

脳卒中には「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の3つがありますが、ラクナ梗塞はこのうち脳梗塞の一種です。

主な原因

高血圧

高血圧はラクナ梗塞の最大の原因です。

長期間にわたる高血圧は血管壁にダメージを与え、動脈硬化を引き起こします。

糖尿病

血糖値の管理が不十分な場合、血管が損傷を受けやすくなり、血栓のリスクが高まります。

動脈硬化

血管内に脂質やコレステロールが蓄積し、血流が阻害されることが影響します。

喫煙

血管収縮作用や動脈硬化を促進するため、喫煙も重要なリスク要因です。

主な症状

ラクナ梗塞の症状は詰まった血管の部位により異なります。

以下のようなものが代表的です。

運動障害

片側の手足の麻痺や動かしづらさが現れることがあります

感覚障害

片側の手足や顔にしびれや感覚が鈍いと感じることがあります

言語障害

話しづらさや言葉が出にくいといった症状

無症候性

自覚症状が全くなく、検査をして初めて発見される場合もあります。

診断

ラクナ梗塞は、MRIやCTスキャンなどの画像診断で確認されます。

MRIでは、深部に小さな梗塞が見つかることが多いです。

治療

治療の目的は、梗塞の拡大を防ぎ、再発を予防することです。

抗血小板薬の服用(アスピリンなど)

血液が固まりにくくする薬で血栓を予防します。

生活習慣の改善

血圧管理や禁煙、バランスの良い食生活が重要です。

リハビリテーション

運動機能や言語機能が障害された場合はリハビリを行います。

再発予防のポイント

血圧管理

血圧を正常範囲内(上が130以下)に保つことが推奨されます。

適度な運動

ウォーキングや軽い運動を日課にすることで血管の健康を保ちます。

禁煙・節酒

血管に負担をかける生活習慣を改めることが重要です。

定期検診

血圧や血糖値のチェックを欠かさず行いましょう。

まとめ

ラクナ梗塞は軽度の症状で見逃されやすい一方、長期的には深刻な影響を及ぼす可能性があります。

高血圧や糖尿病といった基礎疾患を持つ方は特に注意が必要です。早期発見と適切な治療、さらに生活習慣の改善による予防が健康維持の鍵です。