コラム2024/05/15
重症度分類別のパーキンソン病看護vol.2
ホーン・ヤール重症度分類 5度
5度:立位困難
【目標】
- 合併症(褥瘡・拘縮・誤嚥など)の早期発見・治療ができ、二次障害を予防できる。
- 離床時間を少しでも長くすることができる。
- 終末期について考えることができる。
【看護】
- セルフケア
日常生活動作は中~重度の介助が必要となる。
食事は著明な嚥下障害により、食事を軟らかくする、すりつぶすなどの工夫が必要となる。
経口での食事摂取が不可能な場合には、胃瘻造設や胃管カテーテルによる経管栄養を検討する。
- 排泄
おむつ内での排泄や、膀胱留置カテーテルの使用で管理していくことが必要。ホーン・ヤール重症度分類1~2度の患者と比較して下剤での自己管理が難しく、支援が必要となる。排便日にはカレンダーにチェックを入れるなどの管理方法で、介助者が共有できるようにする。下剤だけではなく、浣腸や座薬を用いた定期的な排便処置を行っていく。
- 移乗・移動
車いすやストレッチャーの移動が主となり、介助が必要になる。
- 認知面
構音障害も進み、コミュニケーションが取りにくくなるとともに、意思の表出が困難になる。小声や気兼ねにより介助者に意思表示できないことがあるため、文字盤の使用や
静かな環境で時間をかけたコミュニケーションにより、本人の意思確認を行う。
自宅中心の生活となるため、家族やサービス関係者は、積極的なコミュニケーションを行い、患者が社会的交流の機会を持てるように支援する。
【周囲への看護】
廃用症候群による合併症の予防について、ケア方法の指導や情報提供を行う。障害の程度に応じた在宅サービスの調整により、適切なケアが受けられるようにし、家族の負担の軽減に努める。
胃瘻の造設による全身管理が必要な場合、本人がどのような最期を送りたいのか、治療の継続や終末期の迎え方など、家族を含めて話し合いの機会が取れる時間を設ける必要がある。