コラム2024/05/17
胃食道逆流症(GERD)ってどんな病気?vol.1
胸やけ(みぞおちの上の焼けるようなジリジリする感じ、しみる感じなど)や呑酸(酸っぱい液体が上がってくる感じ)などの不快な自覚症状を感じたり、食道の粘膜がただれたり(食道炎)する不快感を感じることはありませんか。
胃食道逆流症(GERD)とは
胃食道逆流症(GERD)は、主に胃の中の酸が食道に逆流して起こる疾患です。これにより、胸やけや呑酸などの不快な症状が現れ、食道の粘膜が炎症を起こすこともあります。
一部の患者は胸が詰まるような痛みや、のどの違和感、そして慢性的な咳に悩まされます。胃酸の逆流は通常、食後2〜3時間以内に起こるため、これらの症状が食後に現れる場合は胃酸の逆流が疑われます。
胃食道逆流症の3つの分類
- 食道炎がなく、自覚症状のみがあるタイプ(非びらん性逆流症またはNERD)
- 食道炎があり、自覚症状もあるタイプ
- 自覚症状はなく、食道炎のみがあるタイプ
胃食道逆流症は致命的な疾患ではありませんが、日常生活に影響を与えるため、適切な対処が必要です。生活習慣の改善(食べ過ぎや高脂肪食の回避、寝る前の食事の時間差、過体重の管理など)や適切な薬物療法により、多くの患者が症状や食道炎の改善を実感し、生活の質や満足度も向上することがあります。
近年、胃食道逆流症の患者数が増加しており、これは食生活の西洋化やピロリ菌の感染率の低下などが原因と考えられています。
胃食道逆流症の患者さんはどれくらいいるのか?
胃食道逆流症は、胃腸系の疾患の中でもっとも頻度が高いものの一つです。
その発症には、食生活の西洋化や、日本人でも胃酸分泌能力が高まったこと、そしてピロリ菌感染率の減少により、胃酸を多く分泌する元気な胃を持つ人が増加したことなどが関与しており、1990年代後半以降、患者数が増加しています。
現在、成人の10〜20%がこの病気にかかっていると推定されています。胃食道逆流症の患者は、健康な人に比べて日常生活の質(QOL)が低下しているとされています。
患者さんの生活にはどんな影響があるのか?
胃食道逆流症の患者は、胸やけの症状が日常生活にさまざまな影響を与えます。
特に、食事を楽しめない、良質な睡眠をとれないなどの影響が挙げられます。
また、症状のために仕事の効率が下がったり、会社を休むこともあります。
より良い生活を維持するためには、早期に正しい診断を受け、適切な治療を開始することが重要です。