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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

 重症度分類別のパーキンソン病看護vol.1

コラム2024/05/14

 重症度分類別のパーキンソン病看護vol.1

ホーン・ヤール重症度分類 12

1度:症状は身体の片側にのみ起こる一個性。機能障害はないか、あってもごくわずか。

2度:身体の両側性の障害。バランス障害は伴わない。

目標

仕事や地域社会(コミュニティー) とのつながりが維持できる。

病気についての知識の獲得、適度な運動習慣を身につける。

看護

  • セルフケア

家事も含めて自立するように努めていく。

  • 排泄

排尿は問題のないことが多く、排便は早期から便秘になることが多い。適切な食事、排便習慣や適度な運動と習慣性の少ない下剤の使用を勧めていく。

  • 移動

自立歩行は問題なくできるが、手すりの使用を勧める。長距離の歩行では疲労感が強くなるため、高齢のパーキンソン病患者はシルバーカー、キャリーケースをつえの代わりに用い、無理のない移動方法を提案していく。

  • 認知・社会面

病前と比較しても社会的交流は大きく変化せず、運動障害も軽微であることから外出頻度も大きく変化はない患者もいる一方で、振戦に伴う周囲の視線やうつに関連した易疲労感などにより、自宅を中心とした生活になる患者もいる。また早期から REM 睡眠行動異常症に悩まされる場合もあり、家族の理解が必要となる。

周囲への看護

外来受診には家族も同伴し、病気や治療について理解してもらう関わりが大切。初期から病気の知識を得ることで、病気に対する受け止めがスムーズになり、協力が得やすくなる。また、転倒による恐怖や疲労感が全面に出ると患者の生活が不活発となるため、周囲のサポートを受けて積極的な社会参加を促すことが必要。

ホーン・ヤール重症度分類 34

3度:姿勢反射障害が見られる。活動の一部が制限される。

4度:重篤な機能障害、自立步行困雞。

【目標】

  • 転倒や誤嚥による合併症を起こさない。
  • 支援により、日常生活を含む社会活動を送ることができる。

【看護】

  • セルフケア

・食事:嚥下障害は重症度と関連がなく、比較的早期からみられる場合もあり、嚥下障害の鑑別が必要となります。嚥下障害が疑われる場合は、さらに詳細な評価を行い、適切な食事形態の選択や、とろみ剤の使用も勧めていくことを検討する。

・整容:ジストニアにより姿勢異常を伴うため、鏡を見ての整容動作や歯磨き、うがいがうまくできなくなることもあり、自己での整容や口腔ケアができているのかを評価して、必要時環境整備やケアを行います。

・更衣:着替えに時間がかかるようになるため、サイズにゆとりのある着脱しやすい衣服の選択を勧めます。前傾姿勢や異常発汗により背部や臀部の衣服の着脱が難しいため、速乾性のある肌着を勧めていく。

・入浴:片足で立ってのまたぎ動作が難しくなる場合があり、手すりの設置やバスボードの使用など福祉用具を活用する。

  • 排泄

排尿に関しては頻尿や尿漏れが多くみられるようになる。加齢に伴う影響だけでなく、パーキンソン病による自律神経障害の可能性が高いため、泌尿器科での受診も必要となる可能性がある。

排便に関しては運動障害に伴う努責困難や、慢性的な運動不足による便秘が増悪するため、下剤の使用頻度が高くなる。下剤の使用方法など必要な情報提供や、便秘によるリス

クの説明を行い、適切な排便コントロールに努めていく。

  • 移乗・移動

すくみ足や姿勢反射障害による転倒のリスクが高くなるため、歩行に見守りが必要になり、歩行器・車いすの使用頻度が高くなる。転倒リスクに配慮しつつも ADLが低下しないように、つえや歩行器などを使用した安全な移動方法の確立に向けた支援が必要となる。

また、階段昇降は姿勢反射障害などにより危険が伴う場合があるので、居住スペースを1

階に移すなど住環境を見直すことが必要となる。

  • 認知・社会面

運動障害が出現し、仕事に影響が出るようになるが、仕事内容の変更を含めた配置換えができれば、仕事は継続が可能なことが多い。

高齢になるほど発症頻度の高い病気のため、加齢による物忘れがある場合、内服の重複や飲み忘れもみられる。適切な内服ができるように、本人の生活に応じた内服管理の方法を検討し、習慣づけていくようにする。

【周囲への看護】

進行した症状(すくみ足、姿勢反射障害、嚥下障害など)の理解と、症状に作う転倒や誤嚥性肺炎の危険性などの理解を促す。併せて日常生活の介助方法について、指導を行っていく。

介助量が増えるこの病期は、家族も仕事とのバランスが取れにくく、負担に感じるようになる。家族・本人にとって無理なく安全に生活できるように、在宅サービスの利用を進めていく支援が必要となる。