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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

在宅でのカテーテルの管理

コラム2023/01/30

在宅でのカテーテルの管理

在宅医療では、尿道カテーテル、胃ろう、気管カニューレなど様々なカテーテルの管理・交換がなされます。
医療機関での管理・交換と在宅医療現場での管理・交換では機材やマンパワーの違い、患者・家族への指導の必要性などから相違があることを理解しておかなければいけません。
今回は各種カテーテル管理における在宅と医療機関の違いと多職種連携についてお話したいと思います。

在宅と医療機関の違い

各種カテーテルの管理について、在宅と医療機関ではどのような違いがあるのでしょう。
まず第一に、意思決定プロセスへの関わりに大きな違いがあることは大きな相違点といえます。
在宅医療開始時にはすでに医療機関でカテーテル導入された後の場合が多く、在宅医は本人・家族がどのような考え、想いでカテーテル導入を決定したのかについて関与していないことが多くなります。
そのため在宅ではカテーテル導入が患者・家族の意向に沿っているかを繰り返し評価していく必要があります。
もちろん臨床的な問題も生じうるため、在宅医と各職種との情報共有だけではなく、場合によっては直接話し合いの場を設け修正をしていく必要性もでてきます。

交換等に関する各種ガイドライン

交換等に関する各種ガイドラインの多くは医療機関における管理・交換を念頭に置いている場合が多く、在宅の現場では医学的適応だけでなく、管理上の患者・家族・各職種への負担、QOLの観点、導入に際しての患者・家族の意向や想いを踏まえて柔軟な対応をしなければならない点も医療機関と在宅の大きな違いといえます。

緊急トラブル時の対応

緊急性を伴うトラブルが発生した際の対応に関しても在宅は医療機関と比べて不利となることを忘れてはいけません。
在宅では日常の管理を看護師だけでなく、家族や介護職の方にも担って頂く必要があるため、考えうるトラブルに関してシミュレートしておく必要性が出てきます。

環境整備

先に述べたように、在宅におけるカテーテル管理では、家族や介護職にも役割を担って頂く必要があります。その為には、まずは管理に必要なカテーテルに関する知識の共有を行い、管理上の留意点などについてきちんと理解をしてもらった上で、医療職へ連絡すべき状況を把握してもらう必要があります。
しかし、家族が高齢な場合が多いことや医療が専門ではない介護職の方との役割分担であることが前提条件であることを踏まえ、それらは“なるべくシンプルに”行うことが大切です。

各職種との役割分担

下記は具体的な役割分担の例です。
<訪問看護師>

  • 環境調整
  • カテーテル交換(ケースによる)
  • 有事の際の連絡窓口

<ケアマネージャー>

  • 訪問系サービス、通所系サービスに関係する各職種への、ケア時における情報提供(入浴時におけるカテーテルの取り扱いについて。など)

 

<薬剤師>

  • 薬剤の投与法の相談(胃ろうや経鼻の患者など)
  • 投与に関する手技の患者・家族への直接指導

 

<医療事務または医療機関の担当>

  • カテーテル管理に必要な衛生材料の調整
  • 費用や患者負担についての説明

まとめ

今回は、在宅でのカテーテル管理の医療現場との違いと多職種連携についてお話をしました。入院中にカテーテルを導入し、在宅へ帰る際に在宅医の介入開始となるケースは多いため、退院前のカンファレンスや初診時にきちんと役割分担を決めておく必要があります。

画一的な役割分担ではなく、患者・家族の状況、介入している事業所への負担なども考慮して、ケースごとに無理のない分担を考えていきたいですね。