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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

意味性認知症について

コラム2023/01/25

意味性認知症について

平成27年7月に意味性認知症(=SD)が(行動異常型)前頭側頭型認知症(=bvFTD)とともに、前頭側頭葉変性症の亜型として指定難病に指定されました。

今回は意味性認知症についてお話をさせて頂きます。

意味性認知症とは

意味性認知症とは、側頭葉に比較的限局する左右差のある萎縮を有し、臨床的には意味記憶障害が前景に立つ臨床症候群である。 65歳未満で発症する事が多い。 左優位萎縮では一般物品(例:蜜柑、桜など)についての意味記憶障害を呈し、右優位萎縮では人物についての意味記憶障害を呈しやすい。(※以上、「『脳外科辞典』“意味性認知症”」より引用)

意味性認知症の特徴

意味性認知症の特徴のひとつは言葉の意味がわからなくなることです。

単語を正しく聞き取ることはできますし、復唱することもできます。しかし、その言葉の意味だけがわからなくなり、例えば「利き手を教えてください。」と尋ねた場合、「“利き手”って何?」と答えます(語義失語)。

また認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症の方は、皆様もご存じのように、物の名前が思い出せない場合はありますが、答えを教えてもらうと納得することができます。また、単語の最初の文字をヒントにしてあげると思い出すことができます(語頭音ヒント)。

一方で意味性認知症の方は、答えを教えられても、納得することができませんし、初めて聞く言葉のようなリアクションをします。また、漢字を読み間違える(「三日月」を“さんかづき”と読み間違えるなど)表層性失語や、たまにしか会わない友人や親せきの顔が認識できない相貌失認、富士山などの皆が知っている有名な場所や建築物の写真をみてもそれを「富士山」(特定の山)と認識できないなども意味性認知症の方に多く見られる症状です。

さらに進行すると、身勝手な行動、非影響性の亢進、言語・行動面での常同など、前頭側頭型認知症と類似した人格・行動障害が目立ってくるようになります。

医療費受給を受けるには??

指定難病と聞いて気になる点の一つとして、医療費受給を受ける要件はあるのかという点があると思います。

要件としては、意味性認知症と診断され、且つ重症度分類3以上で発症年齢65歳以下とされています。診断基準、重症度分類は以下のようになっています。

診断基準

意味性認知症

(1)必須項目a):次の2つの中核症状の両者を満たし、それらにより日常生活が阻害されている。
A.物品呼称の障害
B.単語理解の障害

(2)以下の4つのうち少なくとも3つを認める。
A.対象物に対する知識の障害b)(特に低頻度/低親密性のもので顕著)
B.表層性失読・失書c)
C.復唱は保たれる。流暢性の発語を呈する。
D.発話(文法や自発語)は保たれる

(3) 高齢で発症する例も存在するが、70歳以上で発症する例は稀である注1)

(4) 画像検査:前方優位の側頭葉にMRI/CTでの萎縮がみられる注2)

(5) 除外診断:以下の疾患を鑑別できる。
1) アルツハイマー病
2) レヴィ小体型認知症
3) 血管性認知症
4) 進行性核上性麻痺
5) 大脳皮質基底核変性症
6) うつ病などの精神疾患

(6) 臨床診断:(1)(2)(3)(4)(5)の全てを満たすもの。

注1) 高齢での発症が少ないところから、発症年齢65歳以下を対象とする。
注2) 画像読影レポート又はそれと同内容の文書の写し(判読医の氏名の記載されたもの)を添付すること。なお、画像検査所見及び除外診断については、別表を参考に鑑別を行う。

<参考>
注3) 特徴的な言語の障害に対して、本人や介護者はしばしば“物忘れ”として訴えることに留意する。
注4) (行動異常型)前頭側頭型認知症と同様の行動障害がしばしばみられることに留意する。

a)例:これらの障害に一貫性がみられる、つまり、異なる検査場面や日常生活でも同じ物品、単語に障害を示す。
b)例:富士山や金閣寺の写真を見せても、山や寺ということは理解できても特定の山や寺と認識できない。信号機を提示しても「信号機」と呼称ができず、「見たことない」、「青い電気がついとるな」などと答えたりする。
有名人や友人、たまにしか会わない親戚の顔が認識できない。それらを見ても、「何も思い出せない」、「知らない」と言ったりする。
c)例:団子→“だんし”、三日月→“さんかづき”

重症度分類

意味性認知症

0:正常発語、正常理解。
1:最低限だが明らかな喚語障害。通常会話では、理解は正常。
2:しばしば生じる発語を大きく阻害するほどではない程度の軽度の喚語障害、軽度の理解障害。
3:コミュニケーションを阻害する中等度の喚語障害、通常会話における中等度の理解障害。
4:高度の喚語障害、言語表出障害、理解障害により実質的にコミュニケーションが不能。

※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続す
ることが必要なものについては、医療費助成の対象とする。

(以上、診断基準および重症度分類は「『難病指定センター』“前頭葉変性症(指定難病127)”」より引用)

まとめ

前頭葉側頭葉変性症はアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症と並んで「4大認知症」とされています。

認知症の悩みは本人の症状だけではなく、家族の想いや不安、家族構成や生活状況など個別性が高いものも多く、複雑化しています。

もの忘れ外来などに受診する場合、診察で1からそれらを全て把握することはかなり時間がかかりますし、“伝え忘れ”も起こってしまいます。

受診する場合には、発症から受診に至るまでのストーリーをまとめておき、可能な限り事前に情報提供をしておくことで速やかに正しい診断やアドバイスを受けることができます。