MENU

医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

中心静脈栄養の管理について

コラム2022/11/14

中心静脈栄養の管理について

TPN導入の流れ

在宅の患者様では、栄養管理の方法の一つとして、中心静脈栄養法(以下、TPN)が用いられることがあります。

様々な理由で、栄養を経口で摂取することが困難となった場合、高カロリー輸液と呼ばれる高濃度の栄養輸液を中心静脈から投与することが検討されます。

老衰や認知症などが誘因となっている嚥下障害がベースの低栄養に対して、TPNを導入するかどうかに関しては、本人、家族の意思決定を基に決定します。

多くの場合は、病院でTPNが導入された後に在宅以降という流れをとりますが、時には在宅療養の過程でTPN導入を検討するような場面もあります。

アクセスデバイス

①CVポート

CVポートは、中心静脈カテーテルの一種で、正式には皮下埋め込み型ポートといわれるものです。長期のTPN管理が予測される場合にはCVポートを用いることでQOLの担保と、在宅管理の安全性の向上が得られるというメリットがあります。

多くの場合、首や鎖骨の下の血管からカテーテルを入れて、右または左の胸の皮膚の下に埋め込みますが、状態によっては腕に埋め込むこともあります。カテーテルの先端は、心臓近くの太い血管に留置されます。
導入の際、CVポートを体に埋め込むための手術を必要とします。

②CVC

中心静脈カテーテルのことで、カテーテルの先端を中心静脈内に留置するカテーテルです。すぐに抜去が可能と予測されるケースやターミナル期のケースなど、短期間のTPN管理が予測される際、CVポートの造設を行うと、入院期間が延長し、退院のタイミングを逸してしまう可能性があるのに対し、CVCであれば早期の退院が可能となるというメリットがあります。

しかし穿刺後、カテーテル静脈壁を穿破して血胸、水胸、あるいは心タンポナーデなどを起こす可能性があることや自己抜去のリスクも高くなります。

③PICC

よく“ピック”と呼ばれる管理法がこの方法で、抹消挿入型中心静脈カテーテルを指します。

カテーテルは通常上腕から挿入され、他の中心静脈カテーテルと比較して、腕から比較的簡単に挿入でき、挿入後の感染などのリスクも少ないというメリットがあります。

また管理方法によっては長期間にわたって使用できるというメリットもあります。

必要な機材

TPN管理に必要な機材は以下の3つです。

①輸液ポンプ

患者の活動性や日常生活の生活状況に応じて機種を選択します。

比較的日常生活の活動性が高い場合はカフティポンプが選択されるケースが多くなります。

②輸液ルート

ポンプ用の輸液セットやCVポートの場合はヒューバー針、必要に応じてジョイントシステムが必要になります。

③衛生材料等

ガーゼ、アルコール綿、ドレッシング材、消毒液など。通常、必要量を管理料を算定している医療機関から提供します。

まとめ

今回は、TPNについてお話をしました。

経口摂取が困難となった場合の栄養管理法の選択は在宅においては非常に重要な問題です。

それぞれの管理法についての基礎知識をしっかりと身につけておきたいですね。