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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

途切れのないサービスを~介護関係者の願いとオミクロン株がもたらす恐怖~

コラム2022/02/14

途切れのないサービスを~介護関係者の願いとオミクロン株がもたらす恐怖~

コロナワクチンの接種により新型コロナウィルスとの戦いは一旦落ち着いたかに思えました。

しかしオミクロン株の急速な感染拡大により、私たちは再び出口の見えない戦いを続けなければならなくなりました。

日々、要介護者の方々のために戦う介護現場の方々もオミクロン株の感染拡大はこれまで以上の“危機感”を強く感じているようです。

今日は、名古屋で活躍するケアマネージャーさんと訪問看護師さんから実際に聞いた生の声を皆様にご紹介したいと思います。

「資源が足りなくなる」~ケアマネージャーさんの声~

名古屋市で活躍する、あるケアマネージャーさんは限りある介護資源の限界が近いと強く感じていると言います。

「毎日のように、オミクロン株の報告があります。

『デイサービスで陽性者が出た』

『訪問看護さんでスタッフが感染した』

 

などの連絡をこれまでにない頻度で頂きます。

これまではスタッフさんよりも利用者さんで陽性者が出たという報告が多かったイメージなのですが、今回のオミクロン株はスタッフさんが感染したというご報告の割合が以前よりもずっと多いように感じます。

「デイサービスなどで陽性者が出ると、ヘルパーさんなどの別のサービスを代わりに導入して要介護者の方々の生活を守らなければなりません。

ですが、その“代わりのサービス”を提供する事業者さんでもコロナ陽性者が出たりしているとサービス調整がどんどん難しくなります。

元々、ヘルパーさんなどは充分な資源があるとは言えない状況なのに、ニーズは増えて供給が減っているという今の状況にはものすごく危機感を感じますし、このままのペースが続くと、介護資源が足りなくなって介護を必要としている方々の生活を維持できなくなるのではないかと不安を感じる毎日です。」

「別方向からの影響に恐怖を感じる」~訪問看護師さんの声~

名古屋市で活躍する、ある訪問看護ステーションの管理者さんは、別方向から波及する影響に恐怖を感じていると言います。

「私たちは、看護師として毎日看護を必要とする方々のご自宅に訪問しています。

コロナ禍においてはスタッフの感染予防対策を徹底してきています。

私たちの訪問時間は1回あたり30分以上となる場合が多く、もしスタッフが感染していれば、関わった利用者さんは間違いなく“濃厚接触者”となってしまいます。

そうなれば利用者さんはあらゆるサービスを受けられなくなる可能性があって、生活が送れなくなってしまうリスクがあります。

『絶対に感染者を出してはいけない』そういう決意でスタッフにも感染対策を徹底してもらっています。

ですが、最近は実は全く別方向からの恐怖を感じています。

それは、保育園や学校での発生する陽性者やクラスターです。

今、私の事業所では二人の看護師が仕事に出てこられない状況となっています。

保育園で陽性者がでたことで、子供を預けられなくなり、仕事に出てこられなくなってしまっているのです。

人が足りなくなったらアルバイトを探せばいいじゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、元々業界全体が“看護師不足”に喘いでいる今の現状ではなかなか人材を見つけることも難しいのです。私の事業所と同じように、ギリギリの人数でステーションの運営をしている事業所は決して少なくありません。

そういった事業所さんにとって、こうした問題はまさに死活問題です。

どうしても女性の多い業界ですから、保育園や学校に子供が行けなくなれば休みを取らざるを得ない訳です。

『スタッフから陽性者が出た』とかじゃなくて、まさかこういう別方向からの影響で頭を悩ませることになるとは思ってもいませんでした。」

まとめ

今回は、名古屋市で働くケアマネージャーさんと訪問看護師さんにオミクロン株の影響についてお話を聞きました。

お二人とも“途切れのないサービス提供”への影響について悩まれています。

もともと、慢性的な人材不足問題を抱える医療介護業界ですが、新型コロナウィルスの影響がさらにその問題に拍車をかけているようです。

少しでも早い、鎮静化と抜本的な問題解決を心から願います。