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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

介護・医療の「訪問○○」~種類を知ってうまく使おう~

コラム2019/12/24

介護・医療の「訪問○○」~種類を知ってうまく使おう~

介護・医療の「訪問○○」~種類を知ってうまく使おう~

訪問介護や訪問看護、訪問入浴など自宅や施設で生活をするには欠かせなくなってきた訪問サービス。既にご存知の方が多いかもしれませんが、今回は介護・医療の代表的な訪問サービスをご紹介させていただきます。

訪問診療

訪問診療(在宅医療)とは、具合が悪くなったときだけ医師が診察に伺うものではなく、お一人で通院が困難な患者様のお宅に、日ごろから医師が定期的に診療にお伺いし、計画的に健康管理を行うものです。定期訪問に加え、緊急時には365日×24時間体制で対応、必要に応じて臨時往診や入院先の手配などを行います。訪問診療の目的は病気の治療だけではありません。転倒や寝たきりの予防、肺炎や褥瘡などの予防、栄養状態の管理など、予測されるリスクを回避し、入院が必要な状態を未然に防ぐことも重要な役割です。

訪問歯科診療

訪問歯科診療とは、要介護高齢者が在宅や施設で歯科診療が受けられるものです。要介護高齢者の多くは歯科的な問題を抱えているにも関わらず、これまでの外来での歯科受診は70~74歳をピークに、その後急速に減少する実態があります。歯科治療をはじめとする口腔機能の維持管理は、食べるという機能ばかりでなく、生きる力やQOLの向上に寄与することが明らかになってきています。身近なかかりつけの歯科医などに相談し、外来受診が困難な場合であっても治療をあきらめないことが重要です。

訪問調剤

訪問調剤とは、薬剤師訪問サービスとも呼ばれます。通常の調剤薬局は、処方箋を持って薬局に来た患者さんに、お薬の説明をしてお薬をお渡しします。一方で訪問調剤は、薬剤師が患者さんのご自宅などを訪問。そのうえで、お薬の管理や服薬指導などを行います。訪問調剤では通常のお薬代に加えて、管理指導料がかかります。医療保険では「在宅患者訪問薬剤管理指導」、介護保険では「居宅療養管理指導」といわれ、要介護認定を受けている方は、介護保険が優先されます。

訪問看護

訪問看護とは、看護師などが居宅を訪問して、主治医の指示や連携により行う看護 (療養上の世話又は必要な診療の補助)です。病気や障がいがあっても、医療機器を使用しながらでも、居宅で最期まで暮らせるよう に多職種と協働しながら療養生活を支援します。健康状態の観察、病状悪化の防止・回復、療養生活の相談とアドバイス、リハビリテーション、点滴、注射などの医療処置、痛みの軽減や服薬管理、緊急時の対応、主治医・ケアマネジャー・薬剤師・歯科医師との連携などです。

訪問介護

訪問介護とは、自分や家族だけで日常生活を営むことが難しくなった要介護者に対して、介護福祉士やホームヘルパーが自宅に赴き、入浴、排泄、食事等の介護、掃除、洗濯、調理等の援助、通院時の外出移動サポート等の日常生活上のお世話を行うサービスです。訪問介護を利用できるのは、居宅で生活を送る、「要介護」と認定された人です。介護保険により訪問介護(ホームヘルプサービス)を受けることが出来る方は、要介護1以上の認定を受けている方です。要支援1あるいは要支援2の認定を受けている方は「介護予防訪問介護」という形でサービスを利用できます。ただし、一部の利用制限もあります。訪問介護のサービスは、大きく分けて3種類あります。「生活援助」「身体介護」「通院時の乗車・降車等介助」です。

訪問入浴介護

訪問入浴介護とは、専門の事業者が、寝たきり等の理由で、自宅の浴槽では入浴するのが困難な在宅の要介護者に対して、浴槽を自宅に持ち込み入浴の介護を行うサービスです。介護職員2名と看護師1名の3名で行うことが一般的です。入浴の前後には、血圧や発熱の有無等についてのチェックを行います。血圧が高い場合等においては安全にサービスが提供できるかどうかを主治医に照会することもあります。主治医が、要介護者の状態が安定していると判断した場合については、介護職員のみで訪問する場合もあります。なお、要支援状態の方については、介護予防訪問入浴介護を利用することができます。

訪問リハビリテーション

訪問リハビリテーションとは、病院、診療所、介護老人保健施設の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が利用者の自宅を訪問し、心身の機能の維持・回復、日常生活の自立を支援するために、理学療法、作業療法等のリハビリテーションを行うサービスです。また、介護する家族へのアドバイス・相談も行います。さらに、在宅生活において日常生活の自立と社会参加を目的として提供されるサービスでもあります。病院やリハビリテーション施設への通院が困難な場合、退院・退所後の日常生活に不安がある場合など、主治医により訪問リハビリの必要性が認められた場合にサービスを受けることができます。訪問リハビリテーションの対象者は、要介護1以上の方で、主治医が訪問リハビリテーションの必要性を認めた場合となります。なお、要支援の方は、「介護予防訪問リハビリテーション」のサービスが受けられます。

訪問マッサージ

訪問マッサージとは、寝たきりや歩行が困難な方のご自宅や介護施設にお伺いし、リハビリマッサージを行ないます。心身機能のアップはもちろん、新陳代謝の向上、機能低下の予防を目的とし、日常生活の向上改善に効果が期待できます。筋肉の麻痺、関節の拘縮などの症状で、歩行困難・寝たきり状態の方、医師によりマッサージの必要性が認められた方を対象とし、医師の同意書により健康保険が適用されます。

訪問美容

訪問美容とは、サロンへ行くことができない方々のために、理美容師が自宅や病院、福祉施設などを訪問し、施術することです。理容師法・美容師法にある「高齢や疾病(しっぺい)などの理由でサロンに行くことができない方」を対象に、特例として認められた出張理美容のことをいいます。いくつになってもどんなときでもおしゃれ心を忘れず暮らしたい方々の、「キレイになりたい」思いを受け止めることができるのが、訪問美容です。

訪問栄養指導

訪問栄養指導とは、通院困難な方のご自宅に、管理栄養士が訪問させていただき、食生活や栄養に関する様々な相談をお受けしたり、ご提案をさせていただくものです。「食事」や「食べること」を通じて、健やかな在宅生活を応援します。

まとめ

改めて調べてみると訪問でできることは沢山ありますね。多分、ほかにも訪問サービスはあると思います。利用者さんの、「自宅で過ごしたい」という希望をかなえるために色々なサービスを使っていけると良いですよね。介護と医療と、バランスよく使っていく際には私たちもお力になれれば幸いです。