ケアマネージャー
先生が優しいっていうのはもちろんですが、依頼する初期段階で色々と相談員さんに相談しながら進められるは心強いです。
社会福祉法人 緑生福祉会 緑生苑指定居宅介護支援事業所(名古屋市緑区大高町字上蝮池14番)
ケアマネージャー 佐藤英雄さま(主任介護支援専門員)
―緑生苑指定居宅介護支援事業所さんの素敵なポイント(立地)は?-
佐藤CM>
場所は緑区の南側に位置し、南生協病院さんが一番近い病院です。
車で来ていただく方が多いのですが、実は「南大高駅」という駅もあります。
近くにイオンができたおかげで南大高駅ができました(笑)
大塚>南大高駅からは徒歩でも行けますか。
佐藤CM>南大高駅から緑生苑指定居宅介護支援事業所の道中に「蝮池(まむしいけ)」という池があり、蝮池を見ながらトコトコと歩いて来ていただくと穏やかな気持ちになります。そのため、そんなに遠いという感じはしないと思います。
春は桜、秋は紅葉が凄く綺麗ですよ!名古屋らしからぬ、景色が楽しめます(笑)
―事業所の特徴を教えてください―
佐藤CM>元々は特別養護老人ホームで介護保険ができる前から運営しています。
介護保険ができて、デイサービスを始め、その後に居宅介護支援事業所開設という流れです。私はこの事業所に来て、もう12年目です。
大塚>居宅介護支援事業所は佐藤さんが来たタイミングでスタートしたのですか?
佐藤CM>私が入社したときには先輩のケアマネージャーが居ました。
しかし、引き継ぎのタイミングで先輩ケアマネージャーさんが急病で退職されてしまい、引き継ぎがないまま「張り切ってどうぞ!」という感じでスタートしました(笑)
大塚>入社してすぐに「一人ケアマネ」でスタートしたのですか。大変ではなかったですか。
佐藤CM>一人ケアマネでしたね。
南区に「南生苑」というところがあり、特別養護老人ホームとショートステイとケアハウスと居宅介護支援事業所とデイサービスがありますが、「南生苑」のスタッフさんがケアマネジャー業務を教えに来てくれていました。
当時は右も左もわからなくて、ヘルパー事業所に全然関係ないFAXを送ってしまうなど、とにかく助けられながら仕事していました。
よくいえば、かなり密に連携しながらやっていましたが、本音をいえば、「連携せざるを得ない」状況で必死でした。
書類一枚から全部聞いて回る必要があったし、利用者さんのことは、僕よりもヘルパーさんやデイサービスのスタッフの方がよく知っていましたから、ヘルパーさんやディサービスのスタッフさんから情報を得て、まずは状態像を思い描いてから訪問していました。
大塚>佐藤さんがケアマネージャーになった経緯を教えてもらえますか。
佐藤CM>元々回復期病院のデイケアで7年くらい働き、その後、同病院で介護の仕事をしていましたが、その時の職場の先輩に「目的もなく働いていたらダメだよ!資格とか取りなさい!」と言われました。
回復期病院で、理学療法士、作業療法士、言語聴覚、看護師の方から学びながら働くことも多かったため、何となく資格を取らないとなーというところもありましたね。
ただ、理学療法士などのリハビリの専門職に今からなるのは大変だなーと思ったり…。
そんな時にぼんやりと社会福祉士の資格を取得し、相談員業務をやりたいと思ったのですが、同時進行で「介護支援専門員」の資格の勉強もしていました。
社会福祉士が2,3回目くらいで合格して、その後、ケアマネージャー試験を受けて合格しました。
住まいから近い場所で職場が見つけたかったこともあったし、その時はケアマネの方が募集も多かったので、その流れで、緑生苑に入社したのが経緯になります。
―緑区の在宅診療事情について過去と現在でどのような変化がありましたか―
佐藤CM>私がここで働き始めた12年前から在宅医療はありました。
最初の頃は、名刺を渡しても先生に全然見てもらえなかったり、診察時に同席しても、「呼んでないんだけど」って言われたり…(笑)。
それから在宅医療専門のクリニックが出てきましたけど、緑区(大高町)だと開業医の先生とか総合病院系の在宅診療を利用することが多かったです。
近くの総合病院も在宅医療を始めるのが早かったですね。当時、総合病院を退院後、系列の訪問看護が付いて、在宅診療も系列のクリニックで。みたいな流れはありますね。
大塚>なるほど。今、緑区って訪問看護さんが凄く多いイメージですが、早い時期から多かったのですか?
佐藤CM>約10年前は病院系の訪問看護と開業医系の訪問看護さんが多かったイメージですね。今見たいな独立系の訪問看護ステーションは少なかったと思います。
徐々に独立系の訪問看護ステーションができ始め、訪問看護の競争が激化、隆盛とともに、連携がとりやすい訪問看護さんが増えたという印象です。そのころから訪問看護ステーションが居宅介護支援事業所に営業に来てくださるケースも増えてきました。
そのため、僕も訪問看護ステーションに依頼するケースも多くなっていきました。
―訪問看護の導入の目的について教えてもらえますか―
佐藤CM>入院中に退院時カンファレンスで、在宅で過ごしたいと希望される場合は「訪問看護さんいれなきゃダメだよね」というケースが多かった気がします。
また、薬の管理が難しくなり、訪問看護さんに入ってもらって、「薬を管理してもらいましょうか」というのも多かったですかね。
最近はお風呂介助をしてもらう目的で使うこともあります。併せて身体のチェックもしてもらえるし、時間かけてやってもらえます。
―ちくさ病院から緑区だと訪問診療の距離が遠くないですか―
大塚>佐藤さんとは、ちくさ病院も連携を取らせてもらっていますが、緑区大高と千種区今池は距離的には遠いじゃないですか。在宅医療機関と距離の問題についてはどのように感じていますか?
佐藤CM>うん。遠いですね(笑)。正直最初は遠いので、やっぱり、ケアマネージャーとしても不安がありました。
「ちくさ病院!?千種区にあるの!?」と言う方も利用者さんの中にはいましたよ(笑)
ですが、「現在、ちくさ病院さんは名古屋市内全域で在宅医療サービスを提供していて、日によっては、緑区地域だけを訪問する日もあるみたいだから、全く問題ないですよ」
「相談しやすい先生が多いですよ」
とお伝えすると、ちくさ病院が良いって選んでくれる方が多いですね。
利用者さんの家族は、病状について聞きたくても聞けない経験もあって、相談しやすい先生がいる所が嬉しいという利用者さん家族は多いですね。
話はそれますが、相談しやすいって訪問診療の良さの一つかなと。
家に来てもらえると相談もしやすい。診察室だとやっぱり待つ時間も長くて疲れてしまうし、他にも待っている方もいるから、時間を取って相談も中々できないですから。
家に来てもらって相談しながら、生活も見てもらえるとケアマネージャーとしても安心感はありますよね。
ーちくさ病院に在宅医療を依頼するときの決め手を教えてもらえますか―
佐藤CM>依頼する時点で、ちくさ病院さんならちゃんとやってもらえるかなって思うケースを、利用者さんに紹介しています。
それと「連携をしっかりとりたい」時とかにお願いすることが多いですかね。
大塚>「連携をしっかりととりたい」と考えるときに、在宅医療を提供する側の機能やそういうのを考える要素としては、先生のキャラクターだったり、相談員がいるかどうかだったりっていうところなんですか?
佐藤CM>やっぱり相談員がいるっていうのは大きいですね。
先生が優しいっていうのはもちろんですが、依頼する初期段階で色々と相談員さんに相談しながら進められるのは心強いです。
在宅診療を始めるときは、ケアマネージャーが動かないといけない時もあり、段取りを色々しないといけない中、訪問診療の調整までって中々きついものがあります…。
在宅医療を提供する医療機関のなかには、1回は外来受診しないといけない所もあるので、平日ですと家族の都合もありますので、ちょっとハードルが高くなっちゃいますよね。
あとは、訪問看護ステーションさんに「連携とりやすいところってどこですかね?」と聞くと、「ちくさ病院さん」って名前が挙がって来るので、安心して紹介ができますよね。
―最近の悩むケースはありますか―
佐藤CM>眼科とかは悩むケースが多いですかね。
眼科にかからないといけないケースって割と多いですよね。
ちくさ病院さんと連携しているTさん(患者さん)は、今も眼科通っていますが、Tさんの場合は、眼科に受診する際に連れて行ってくれる人もいないので、介護タクシーで通院しています。。
自費の部分がちょっと出てしまいますが…。最初は僕が連れて行ったりしていたのですが、初診に連れて行ったら半年くらいは継続受診が必要、また、多い月は週に5、6回通院が必要と言われ、それはさすがに無理だなって(笑)
そういう時はサービスを使ってやるしかないとは思いますが、在宅医療で眼科の訪問診療ができるととても便利だなと思いますね。
―認知症の利用者さんへの対応について教えていただけますか―
佐藤CM>認知症が酷くなってきて、手が出たりすると、薬漬けにしていくのもどうなのかと思います。どこをゴールに設定しているかという問題もありますが、できるだけ在宅で過ごしたいという方も多いですからね。
大塚>なるほど。ケアマネージャーさんだと家族の疲弊も目にしながら関わっていくから、そういう部分の難しさもありますか。
佐藤>そうですね。結局、先生に相談する=薬を処方されるとなると、それによって利用者さんの足元がおぼつかなくなったりとか、元気なくなったりとか…。
そういうときは、僕が家族の意向を聞いて、先生に提案しますが、複雑な気持ちです。
家族の気持ちを聞きながら、本人の意向がどこにあるのか探って…。
バランスを取りながらやっていかないといけないのですが、何が最適なバランスなのか悩みますね。
先生からもこれ以上(薬を)出したら、もう歩けなくなるかもよって言われながら、でも提案していかないといけない。というか…。
大塚>提案が必要だと判断した場合、佐藤さんは先生に直接伝えるのですか?
佐藤CM>直接言いますね。手が出る方であれば、やっぱり直接先生に言わないと。訪問看護さんが訪問できたらまた別なのかもしれません。
しかし、訪問看護さんが介入できないケースもあるため、僕が先生に直接相談して、薬を変更してもらったりしますね。
大塚>家族は「薬が合ってないんじゃないか」と思っているが、それを先生に伝えられないケースもあると思いますが、そのような状況のときに佐藤ケアマネージャーさんはどうされますか?
佐藤CM>そういうこともありますよね(笑)。デイサービスから、「薬出しすぎじゃない?」と言われて、それをフィルターをかけて先生にお伝えすることもあります。
フィルターかけすぎて先生にあまり伝わらなかったりもしますね。「もうちょっと続くようなら、変えましょうか」と返答が返ってきて、「いやもう今すぐ変えて欲しいんだけど」って思ったり(笑)。そういう時にこそ相談員さんがいると言いにくいことを先生に伝えてくれるので助かりますよね。
―施設より在宅が良いと思うポイントは何でしょうか―
佐藤CM>併設の施設があるので、あまりぶっちゃけは言えないのですが…(笑)。
施設に入ったことがない方からすると、在宅が良いという人の方が圧倒的に多いです。施設に入ると色々な制限も出てくるし…。
僕の場合、本人さんや家族がやりたいのなら、できる限りそれに寄り添いたいなと思っています。それこそ、大塚さんと一緒に関わったKさんもそうですよね。
大塚>よく覚えています。「俺は死ぬまで酒はやめん!」の方ですね。
佐藤CM>そうです(笑)。本人さんはお酒飲みながら死にたいって。最初はできる限り(酒の量を)減らす努力をしながらとも思いましたが、最終的には本人が好きなようにして死ねるのなら、それが一番なんじゃないかなって思うようになりました。
ちくさ病院の近藤先生が訪問診療に来た時には、「すいません。本当は止めないといけない立場かもしれないのですが、お酒が本当に好きなので、やめられないとも思います。できるだけお酒の量を減らす努力はしますが、続けながら診ていってもらえると有難いです。」っていう風にお伝えして、先生もそれにちゃんと合わせてくれて。本当に良かったなと。
大塚>先生が採血データを見て、数値が良くて驚いていたのをよく覚えています。お酒から栄養摂れてるの?って思いました(笑)。
佐藤CM>私も先生からその話を聞いたときに、お酒のパワーは凄いなって思いました(笑)。全然食べられないのに…って。でもあの方は、「お酒がないなら死んだ方がましだ」って本当に思っていて、僕は利用者さんに合わせて色々介護のプログラムを組むのがメインですが、みなさんが(本人の意向に)合わせて動いてくれて本当に有難いなって思いましたね。本人の好き勝手にできるのはやっぱり家が一番だなと改めて思いましたね。これからも、本人の意向に合わせていきたいかなって思います。
―佐藤さんはケアマネージャーとして普段から心掛けていることはありますか―
佐藤CM>家族に合わせて、やりたいことをあまり言わない利用者さんもいますが、家族がいないところで「実際どう?」って聞いたりとかしています。
私もあんまり物事テキパキと考えられる方ではないので、じっくり話をきいて、限界まで一緒にやろうか!っていう風にやっていくことの方が多いですかね。
大塚>家族の意見と、本人の意見が割れるのはよくあることですが、佐藤さんはそのような場合、本人の意見に寄り添ってあげることが多いですか?
佐藤CM>そうですね。利用者本位というか。教科書通りだとは思いますが。
でもそうは言っても家族の意見も聞かないと生活自体が成り立たないこともありますし、本人がむちゃくちゃなことを言っている場合もあります。
否定はせず合わせられるところは合わせて、家族の方にも、こんな想いがあって大変ですよねって言いながら、でも「ここら辺までは寄っていけそうですかね」っていうところまで調整することが多いですかね。
ご家族の中にも色んな温度差があり、一筋縄ではいかない場面も多々あります。
家族も色々な想いがあって、結果的にそうなっちゃっているところもあると思いますが、僕も長く家族の話も聞きながら最終的に、お互いの着地点を見つけて調整していくこともありますね。
大塚>そういうときはサービス担当者会議開いたりもするのですか?
佐藤CM>サービス担当者会議を開くこともありますが、訪問看護さんから家族の様子を聞いてもらい共有いただくこともあります。
僕は基本ことなかれ主義なので、いかに波風立てず、最終的にどこに落ち着かせるかっていうことも考えてますね。
大塚>本人も波風立てて欲しくないって思っていることが多いですしね。
佐藤CM>そうですね。家族や本人から意見を聞いていると、結果的に長く在宅で生活できることが多い気がします。話を聞いてもらうだけでもちょっと落ち着かれるんじゃないかと。
家族も家のことはあまり(外の人に)言えないので、言える人ができて心を開くというか、(ケアマネージャーが就くことが)そういうタイミングになるんじゃないかなって思いますね。
―ディサービスと特別養護老人ホームが併設しているということで、コロナで大変苦しい想いをされてきていると思いますが、振り返ってみてどう感じますか―
佐藤CM>緑区はクラスターが割と最初の方に起きて、デイサービスが閉鎖になりました。私が担当の利用者さんも関わりがあり、当初から対応に追われていたというのがありました。
うちは特別養護老人ホームがあり、陽性がでればクラスターになってしまう。デイサービスやショートステイや居宅介護支援事業所が併設なので、いつなってもおかしくないという怖さがあります。
万が一移してしまって、その方が重症化してしまったら…とか考えると本当に気を付けないといけない。
新規で訪問したりして、(利用者さんの)お熱を測ったりはできるかもしれないけど、手洗いしてくださいね、マスクしてくださいねって中々言いにくいですしね。
ここ最近はワクチン接種が広まってきて、利用者さんの表情も少し明るくなったかなって思います。ワクチン接種がきちんと広まったらまた散歩に行こうかなっていう人とかも居ますね。早く終息して欲しいと願っています
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ご利用者さまについて
緑区南部、南大高エリアにある特別養護老人ホーム、ショートステイ、デイサービス併設の居宅介護支援事業所です。
最寄りの南大高駅から居宅介護支援事業所までの道中には、春は美しい桜が咲き、秋は鮮やかな紅葉で彩られ、日本の美しき四季折々を感じることができる自然豊かな場所にあります。
事業所には二人のケアマネさんが在籍しており、今回は、穏やかな表情が印象的な佐藤ケアマネージャーさんにお話を伺いました。(ちくさ病院 在宅医療推進部 相談員 大塚)