在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/06/24
身元保証会社と連携しながら多疾患・多科受診を在宅医療へ集約した事例
要点サマリー
気管支喘息、高血圧症、変形性膝関節症、ドライアイを有し、複数診療科への通院継続が困難となった独居高齢女性に対し、訪問診療を導入した事例である。身寄り支援が限定的であり、身元保証会社と連携しながら在宅療養体制を構築した。多剤内服による管理複雑化に対して内服整理を行い、通院負担軽減と生活安定化につなげた。ケアマネジャーにとっては、家族不在を前提とした支援ではなく、誰と連携して生活を支えるかを再構築する視点が重要となる症例である。
基本情報
年齢・性別:76歳・女性
居住地:該当なし
世帯構成:独居
キーパーソン:身元保証会社
保険・福祉情報
医療保険:後期高齢者医療保険
介護保険:要介護3
診断名
・気管支喘息
・高血圧症
・変形性膝関節症
・ドライアイ
導入の背景
以前より内科、整形外科、眼科など複数診療科へ通院していたが、加齢による体力低下や膝関節痛の増悪により、外来受診そのものが大きな負担となっていた。
独居生活であり、家族による日常的支援は乏しかったため、生活支援や緊急時対応については身元保証会社が関与していた。
また、各診療科から複数の薬剤が処方されており、本人自身もどの薬を何のために飲んでいるか分からないと話す場面がみられ、内服管理の複雑化が課題となっていた。
通院負担軽減と慢性疾患管理の一本化を目的として、訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、喘息症状や血圧変動、関節痛の程度などを継続的に評価しながら慢性疾患管理を行った。
同時に、各診療科から処方されていた薬剤内容を整理し、重複処方や不要薬剤の見直しを実施した。
本人には服薬目的を簡潔に説明し、内服カレンダーなどを用いた管理支援を行った。
また、身元保証会社とも定期的に情報共有を行い、受診調整や緊急時連絡体制を整理した。
結果として、通院回数減少による身体的負担軽減と、内服管理安定化につながり、本人希望であった在宅生活継続が可能となった。
医療対応の詳細
主病
気管支喘息、高血圧症、変形性膝関節症、ドライアイ
対応内容
・呼吸状態および血圧管理
・慢性疼痛に対する経過観察
・多剤内服状況確認および処方整理
・ポリファーマシー対策
・内服カレンダー等を用いた服薬支援
・身元保証会社との情報共有および緊急時連携
医療処置
該当なし
支援のポイント
・複数科受診を在宅医療へ集約する
・ポリファーマシー改善を目的とした内服整理を行う
・独居高齢者に対する服薬管理支援を行う
・家族不在を補う支援者として身元保証会社と連携する
・支援者不在ではなく支援者再構築という視点で支援設計を行う
・通院負担軽減を通じて在宅生活維持につなげる
考察
本症例は、多疾患、多科受診に伴う通院負担とポリファーマシーが、在宅生活継続の障壁となっていた事例である。
高齢独居世帯では、複数医療機関受診が継続されることで、本人自身が処方内容を把握しきれなくなることも少なくない。特に、通院負担が増加すると、受診中断や服薬不良へつながるリスクも高まる。
訪問診療では、単に自宅で診るだけでなく、医療情報を整理し、生活導線に合わせて治療を再設計する役割が重要となる。
また、近年は家族以外の支援者として、身元保証会社や地域支援機関が重要な役割を担うケースも増加している。ケアマネジャーにとっては、家族がいないから難しいと考えるのではなく、誰とどのように支援体制を組むかを柔軟に検討する視点が求められる症例である。
付記情報
・診療科:内科、整形外科、眼科
・病態・症状:その他
・世帯構成:独居