在宅医療の事例紹介(個人宅)2026/04/08
独居で徘徊を伴うCOPD・認知症患者に対し、行政窓口を起点に在宅医療導入を行った事例
要点サマリー
COPDと認知症を併存し、徘徊がみられることで通院継続が困難となった独居高齢男性に対し、訪問診療を導入した事例である。家族による支援が得られず、生活保護係が実質的なキーパーソンとして調整の起点となった。独居かつ認知症を背景に医療導入が必要な場合、ケアマネジャーにとっては、誰を支援軸に据えるか、地域資源をどう束ねるかが重要であることを示す症例である。
基本情報
年齢・性別:88歳・男性
居住地:該当なし
世帯構成:独居
キーパーソン:生活保護係
保険・福祉情報
医療保険:生活保護(医療扶助)
介護保険:要介護3
診断名
・COPD(慢性閉塞性肺疾患)
・認知症
導入の背景
独居で生活していたが、認知症の進行に伴い徘徊が出現し、外来通院の継続が困難となっていた。COPDによる呼吸苦もあり、体調管理が不安定となるなかで、医療的フォローが途切れるリスクが高まっていた。
家族支援が得られない状況であり、生活保護係が生活面と医療面の調整窓口となっていた。通院医療のみでは支援継続が難しいと判断され、在宅での医療介入を成立させる目的で訪問診療導入に至った。
介入内容と経過
訪問診療開始後は、呼吸状態の安定化と認知症による生活上のリスク評価を並行して行った。呼吸苦や全身状態を確認しながら、COPD増悪予防を意識した管理を継続した。
一方で、徘徊や服薬管理の困難さを踏まえ、医療側だけでなく介護サービスや行政との情報共有を密にし、在宅での見守り体制を整備した。
生活保護係を起点として連絡導線を一本化することで、家族不在でも医療、福祉、介護の連携が可能となり、在宅療養の継続が成立した。
医療対応の詳細
主病
COPD、認知症
対応内容
・呼吸苦やSpO2低下の経過観察
・COPD増悪予防を意識した薬剤管理
・認知症による徘徊リスクへの生活支援調整
・急変時の対応方針整理と地域連携
医療処置
該当なし
支援のポイント
・徘徊により通院困難となった段階で訪問診療への切り替えを検討する
・独居で家族不在の場合、行政窓口をキーパーソンとして支援導線を確立する
・COPDの身体管理と認知症に伴う生活課題を同時に扱う支援設計を行う
・医療単独ではなく、福祉、介護サービスを束ねて在宅生活を支える
・連絡窓口を明確にし、急変時対応や日常の情報共有が滞らない体制を整える
考察
本症例は、独居かつ認知症を背景に医療アクセスが途切れやすい高齢者に対し、訪問診療が重要なセーフティネットとなることを示す事例である。COPDのように増悪リスクを伴う慢性疾患を有している場合、通院困難がそのまま病状悪化につながる可能性が高く、早期に在宅医療へ移行する視点が重要となる。
ケアマネジャーにとっては、疾患管理のみならず、支援の起点となる人物や機関をどこに置くかを明確にすることが在宅生活継続の鍵となる。家族が不在であっても、行政や地域資源を支援軸に据えることで在宅医療が成立しうることを示した症例である。
付記情報
・診療科:内科
・病態・症状:COPD(慢性閉塞性肺疾患)、認知症
・世帯構成:独居