要点サマリー
家族関係のトラブルを契機に発症した統合失調症により、精神科通院を継続していた患者である。
気分低下などにより通院困難となる場面があり、在宅診療を併用することで治療中断を防いだ。
服薬アドヒアランスが良好で、家族支援が確保されていたことで、在宅支援は比較的円滑に導入できた。
基本情報
年齢・性別:69歳 女性
居住エリア:記載なし
家族構成:長女と二人暮らし
保険・福祉情報
記載なし
診断名
統合失調症
導入の背景
実母の死去後、相続をめぐる家族間トラブルを契機に幻聴及び妄想が出現。
精神科にて統合失調症と診断され、以後通院治療を継続していた。
内服薬の副作用調整を行い、現在の処方にて症状は安定していたが、気分低下などにより通院できない期間が生じたため、診療継続と服薬管理を目的として在宅診療が依頼された。
介入内容と経過
訪問診療開始後、患者との信頼関係は比較的早期に構築された。
未治療期間はほぼ認めず、内服治療は継続され、精神症状は安定した経過をたどった。
患者本人に病識があり、診療や服薬に対する拒否はみられず、在宅診療は補完的役割として機能している。
現在も精神科外来受診を継続しつつ、体調や通院可否に応じて訪問診療を併用している。
医療対応の詳細
・定期的な訪問診療による精神状態の評価
・抗精神病薬の服薬確認・副作用モニタリング
・通院継続困難時の診療継続支援
支援のポイント
・服薬アドヒアランスが良好で、病識が保たれていた点が在宅介入を円滑にした。
・主介護者である長女も精神疾患を抱えているため、家族支援の視点を含めた関わりが重要であった。
・通院と在宅を併用するハイブリッド型支援が、治療中断防止に有効であった。
考察
精神疾患患者への在宅医療介入は、服薬継続が可能であること、未治療期間が短いこと、被害妄想などによる強い拒否がないことが成否を分ける重要な要素となる。
本症例では病識があり、家族支援も一定程度確保されていたため、比較的短期間で在宅診療を安定的に導入できた。
一方、独居や被害妄想の強い患者の場合は、診療介入に至るまでに長期間を要するケースも多く、地域支援者との粘り強い連携が不可欠となる。
付記情報
・診療科:精神科
・病態・症状:その他(統合失調症)
・世帯構成:親子