在宅医療の事例紹介(個人宅)2025/12/09
COPDに伴う在宅療養と反復性誤嚥性肺炎を経て、主治医継続のもとで病院看取りとなったケース
要点サマリー
COPDを基盤疾患とし、通院困難のため在宅診療を導入した症例である。
訪問看護導入と家族支援により在宅療養を継続したが、誤嚥性肺炎を反復し介護負担が増大。
本人の意向と家族の受け止めを踏まえ、主治医継続の地域包括ケア病棟へ移行し、看取りに至った。
基本情報
年齢・性別:70歳 男性
居住エリア:名古屋市内
家族構成:妻と二人暮らし/長女は市内在住
保険・福祉情報
後期高齢者医療保険(1割)
要介護区分:要介護認定あり
診断名
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
糖尿病
膀胱がん術後
脳梗塞後遺症
導入の背景
COPDの進行に伴い喀痰増加およびADL低下が進行し、外来通院が困難となったため訪問診療を開始した。
主介護者は妻であり、長女も月数回サポートしていた。
介入内容と経過
訪問診療導入後、主に妻の介護のもと、全介助・ベッド中心の生活を送っていた。
初診時に訪問看護を週1回導入し、日常の観察と介護支援体制を構築。
在宅療養中に発熱・呼吸状態悪化を契機として誤嚥性肺炎を発症し入退院を反復。
在宅復帰時には喀痰多量・頻回吸引が必要となり、妻に吸引手技の指導を実施。
その後も誤嚥性肺炎を繰り返し、妻の精神的・身体的負担は増大。施設入所も検討されたが、本人の「自宅で過ごしたい」との強い希望から在宅継続となった。
医療対応の詳細
・酸素療法の適宜導入
・誤嚥性肺炎に対する抗菌薬治療
・喀痰吸引管理および家族への吸引指導
・訪問看護による呼吸状態モニタリングと日常ケア支援
・急性増悪時の往診および救急対応
支援のポイント
・在宅継続において、主介護者の負担評価と心理的サポートが重要であった。
・吸引手技の習得支援により、一時的に在宅復帰が可能となった。
・肺炎を反復する中、本人の「自宅希望」と妻の「限界」の間で継続的な方針調整を行った。
・主治医が在宅と病院を一貫して担当できたことで、本人・家族双方の安心感につながった。
考察
在宅看取りを希望する患者において、介護力の限界は方針決定に大きく影響する。本症例では、在宅療養の継続が困難となった時点で、かかりつけ医の継続関与を軸に病院療養へ移行する選択がなされた。
在宅か施設・病院かという二元論ではなく、「誰が最期まで診るのか」を明確にすることで、本人・家族が納得できる看取りの形を支えられた症例である。
付記情報
・診療科:内科、緩和ケア科
・病態・症状:COPD(慢性閉塞性肺疾患)、その他
・世帯構成:夫婦のみ