コラム2025/01/17
傷病手当金制度について
傷病手当金とは
病気やケガで会社を休むと会社の給与が減額されたり、無給になる場合があります。こうしたときの生活保障として、健康保険には傷病手当金という制度があります。
傷病手当金を受け取れる対象者
傷病手当金は病気やケガにより会社を休んで療養した会社員本人(被扶養者は対象外)が受け取ることができます。
この制度は国民健康保険にはありません。
具体的な判別方法としては、健康保険証のおもて面に「全国健康保険協会○○支部」「○○健康保険組合」「○○共済組合」と書いてある保険証の本人であれば該当すると判断が可能です。交付者名に自治体名(○○区、○○市)や「国民健康保険組合」と書いてあると制度の利用ができません。
傷病手当金の支給の条件
- (業務上や通院災害でない)病気やケガにより療養中であること
- 働けない状態であること(労務不能であること)
- 4日以上会社を休んでいること(連続して3日間会社を休み、その後も休んでいる)
- 給与(報酬)の支払いがない。または傷病手当金の金額より少額となっていること(※休んでいる間、無給ではなく減額支給されている場合、傷病手当金はその差額分のみの支給となります。また、傷病手当金の額より多い給与が支給されている場合はその間は支給されません。)
上記条件の①~④を全て満たした場合に支給されます。ただし、会社を連続して休み始めた最初の3日間を「待機期間」と言い、この間は支給されず、4日目から支給されます(待機期間は会社の所定休日に関わらず、また、有給・無給に関わらず連続して3日休んでいることが要件です。土日休みの会社で土日月の3日間の休みでも対機関は完成します)。病気やケガの種類は問いません。
傷病手当金はどれくらい受け取れるのか
受け取れる金額はおよそ給与の3分の2です。
支給される期間は1つの傷病につき、最長1年6カ月です。
具体的には1日につき、支給開始日以前の継続した12カ月間の標準報酬月額を平均して30分の1したものの3分の2です。健康保険では、毎月の給与等を区切りのよい幅で区分した「標準報酬月額」を給付の基礎としています。
例えば30万円の給与の方であれば、1か月全部休んで無給の場合20万円が受け取れる訳です。
傷病手当金をもらうために必要な手続き
傷病手当金を受け取るためには所定の申請書を書いて提出します。傷病手当金の提出先は加入している健康保険になります。保険証の「保険者」と書いてあるところです。
全国健康保険協会(協会けんぽ)の申請書は下記の通りです(4枚ワンセット)。
・申請者情報、申請内容(1~2ページ)
被保険者ご自身または、被保険者が亡くなった場合は相続人の方がご記入して下さい。
・事業主の証明(3ページ)
事業主に記入を依頼して下さい。
・療養担当者の意見書(4ページ)
担当医師に記入を依頼して下さい
申請には時効があり、受け取ることができる日(労務不能となった日ごと)の翌日から2年となっています。
ちなみに傷病手当金は1日単位で給付金が支払われるため、時効も1日単位で発生します。
申請の際に気を付けるポイント
ホームページから申請用紙をダウンロードできます。申請書の書き方は「記入例」としてまとめてあります。
申請の際に特に気を付けるポイントは申請する本人が記入する「療養のため休んだ期間(2ページ目)」と、担当医師が記入する「療養担当者記入用(4ページ目)」です。
「療養のため休んだ期間」
・(申請期間)(2ページ目):この欄は病気やケガなどにより仕事ができず休んだ期間を書きますが、会社の休業日に関わらず、仕事ができず休んだ日の初日から書いてください。例えば、毎週土日休みの会社で、土曜日から調子が悪くなった場合、休み始めた日は土曜日からになります。また、「がん」のように療養が長期にわたる場合、申請をまとめて行うことも可能です。その場合は、「療養のため休んだ期間」3ページ目の「勤務状況」欄と、4ページ目の「労務不能と認めた期間」欄についても、申請期間に対応する形で会社(事業主)の証明を受けてください。
療養担当者記入欄(4ページ目)
傷病手当金の申請書には必ず「療養担当者の証明欄」があります。これは、傷病手当金の支給要件の1つである「病気やケガにより仕事ができない状態」であるかどうかを確認するためのもので、担当の医師に書いてもらうことになります。
特に「労務不能と認めた期間」は、担当医師が、当該傷病により「仕事ができないと判断した期間」を証明するものです。したがって、証明日(「上記のとおり相違ありません」の年月日)以前の年月日となっていることが必要です。
申請書のちょっとした工夫
医師に書類を渡す際に、医師がなくても分かるところ(例えば患者氏名など)を鉛筆で書いておく、書いてもらいたい箇所を鉛筆で印をつけておくなどすると良いでしょう。また、療養が長期にわたり、何枚も申請書を提出するといった場合、最初の申請書などをコピーして、2回目以降の申請の際、持参するなどすると、よりスムーズに証明してもらえるかもしれません。
まとめ
急な病気やケガがきっかけで要介護状態になった場合、傷病手当金の対象となる方もいるかもしれません。制度の基礎を知っておくと役に立つ場合があるかもしれません。