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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

冬に増える肺炎のリスクと対策

コラム2024/11/29

冬に増える肺炎のリスクと対策

冬の乾燥する季節には、風邪やインフルエンザだけでなく、「肺炎」が目立って増加します。特に、マイコプラズマ肺炎 は2011年や2016年にも大流行し、近年では若い世代を中心に発症が増えています。

肺炎とは?

肺炎は、肺に炎症が生じる病気で、 38度以上の高熱や激しい咳、痰 、呼吸困難 などの症状が現れます。

通常の風邪と異なり、体力の低下や慢性疾患を抱える人がかかりやすく、重症化することも少なくありません。

肺炎の原因

肺炎の原因は多岐にわたり、主なものには次のような病原体があります。

肺炎球菌 :最も代表的な原因菌。

インフルエンザウイルス :冬季に流行しやすい。

マイコプラズマ :若い人にも発症しやすく、乾いた咳や長引く症状が特徴。

クラミジアやその他の細菌・ウイルスも原因となることがあります。

風邪と肺炎の見分け方

風邪と肺炎の違いを見極めるためには、以下のポイントが参考になります。

症状が5日以上続く:特に、咳や熱が長引く場合は肺炎を疑います。

呼吸の苦しさ:鼻づまりがないのに呼吸が苦しい場合、肺の炎症が原因の可能性があります。

肺炎のリスクが高い人

肺炎には「喫煙者の病気」というイメージがありますが、実際には ストレスや疲労、慢性疾患(喘息、糖尿病など)を抱える人も発症しやすいことが知られています。

「若いから大丈夫」「タバコを吸わないから大丈夫」 といった油断は禁物です。

高齢者の注意点

特に高齢者では、感染症以外の原因による肺炎も発生します。

誤嚥性肺炎:食べ物や唾液が誤って気管に入り、炎症を引き起こす。

過敏性肺炎:アレルギー反応による炎症。

高齢者は発熱などの症状が出にくいため、肺炎を見逃しやすい傾向があります。

少しでも体調が悪いと感じたら、早めに医療機関を受診することが重要です。

検査と診断

病院での診察では、まず問診によって症状を確認し、聴診器で肺の音を聞き取ります。

肺炎の場合、炎症や分泌物によって 特有の雑音 が聞こえることがあります。

主な検査

胸部レントゲン撮影:肺の炎症があると、画像に白い影として映ります。

胸部CT:レントゲンでは見つけにくい病変を確認するために使用されることもあります。

病原体の検索:尿、血液、咽頭ぬぐい液の抗原・抗体を調べたり、痰を培養して菌を特定します。

治療方法

肺炎の治療には、 抗菌薬 が中心となります。

外来治療では、解熱剤や咳止めなどの対症療法も行われます。

抗菌薬は 医師や薬剤師の指示に従って最後まで飲み切ることが重要です。

自己判断で薬を中断すると、症状が再発するだけでなく、耐性菌の出現を招くリスクもあります。

マイコプラズマ肺炎では、通常の抗菌薬が効きにくい場合があるため、症状が改善しない場合は医師に相談しましょう。

療養中の注意点

安静に過ごすことが大切です。

特に、体を冷やさないよう暖かくして休養を取るようにしましょう。

水分補給:発熱や食欲不振に伴う脱水症状を防ぐため、こまめな水分摂取が必要です。

肺炎の予防策

肺炎を予防するためには、以下の対策が有効です。

基本の予防方法

マスクの着用

手洗い・うがい

インフルエンザと同様の感染対策 を徹底することが重要です。

ワクチン接種

現在、日本では 肺炎球菌ワクチン の接種が推奨されています。

小児用肺炎球菌ワクチン :生後2か月から5歳未満までの子どもを対象。

成人用肺炎球菌ワクチン :65歳以上や基礎疾患がある人を対象に定期接種が実施されています。

ワクチンは、 すべての肺炎を予防できるわけではありませんが、肺炎球菌による感染リスクを大幅に減らせます。

まとめ

肺炎は、年齢や生活習慣にかかわらず、誰にでも発症の可能性がある病気です。

特に冬場は、 体調管理や予防策を徹底 することが大切です。

症状が長引いたり、体調に異変を感じたら、早めの受診を心がけましょう。