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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

消化性潰瘍ってどんな病気?vol.2

コラム2024/06/04

消化性潰瘍ってどんな病気?vol.2

消化性潰瘍の患者数とその減少

厚生労働省の2017年度調査によると、胃潰瘍は約2万人、十二指腸潰瘍は約3,300人と推定されています。

これらの患者数はいずれも年々減少しており、胃潰瘍は1984年ごろの約5分の1、十二指腸潰瘍は約10分の1に減少しています。

この減少の理由としては、以下の点が挙げられます。

ヘリコバクター・ピロリ菌の感染者が減少

衛生環境の改善や抗生物質の普及により、ピロリ菌の感染が減少しています。

ピロリ菌の除菌治療の普及

ピロリ菌の除菌治療が一般的になり、消化性潰瘍の発症や再発が抑えられるようになりました。

増加している薬剤性潰瘍と特発性潰瘍

一方で、以下の要因により薬剤性潰瘍の割合が高まっています。

高齢化の進行

日本では高齢化が進んでおり、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を痛み止めや脳心血管疾患の予防として服用する患者が増えています。

薬剤性潰瘍の増加

NSAIDsの使用が増えると共に、薬剤性潰瘍の割合が高まっています。

特発性潰瘍の増加

薬剤もピロリ菌も関与しない特発性潰瘍が約1割に増えています。

症状と合併症

消化性潰瘍の症状としては、上腹部やみぞおちの鈍痛、吐き気、胸やけなどがありますが、ときには自覚症状がまったくない場合もあります。

潰瘍が悪化すると、以下のような合併症が生じることがあります。

出血

潰瘍からの出血により、吐血や黒色便(タール便)が見られます。この場合、内視鏡による止血処置が必要です。

貧血

少量の出血が長期間続くと、貧血が進行します。

穿孔

潰瘍が深くなり、胃や十二指腸の壁に穴が開くことがあります。これにより腹膜炎を発症し、激しい痛みとともに緊急手術が必要となることがあります。

消化性潰瘍による死亡

2017年には、出血や穿孔などの合併症により、2,513人が消化性潰瘍で亡くなっています。したがって、消化性潰瘍が疑われる場合は早期に診断・治療を受けることが重要です。