コラム2024/02/27
インスリンボールにご注意ください
インスリンボールとは?
インスリンを同じ場所に反復して注射するとインスリンを形成するタンパク質が皮下で変性し塊になり、固いしこりとなります。これを“インスリンボール”といいます。
別名、インスリン・リバイバートロフィーとも呼ばれ、Ⅰ型糖尿病患者の約30%、Ⅱ型糖尿病患者の約5%に認められるという報告もあります。
なぜインスリンボールに注意が必要なのか
インスリンボールができてしまうとインスリンの吸収が阻害されて十分に効果が得られなってしまうということが一番の問題点です。
インスリンボール内では血管が圧迫されてインスリンを全身に運ぶことを阻害します。また打った時の痛みも感じにくくなります。そのため、インスリンの量を増やすことになりますが、そうなれば打つ場所によっては低血糖を招く原因となってしまいます。
結果として、血糖コントロールが悪くなってしまいます。
予防
インスリンボールの予防はシンプルです。先述した通り、インスリンボールが形成される原因は同じ場所にインスリン注射を繰り返し行うことと考えられています。
ですから、予防策としては同じ場所に繰り返しインスリン注射を行わない、打つ場所を変えることで予防が可能です。
このように、注射部位を少しずつずらして広い範囲に注射を行うことをサイトローテーションと呼びます。
傾向として、患者さんによっては、つまみやすい場所、服をめくりやすい場所、痛みが少ない場所など注射部位が偏ってしまう方も多くいらっしゃいます。また、ちゃんと変えているという方でも実は左右の場所を交互に変えているだけという方もいます。
まとめ
最初は注射部位が偏らないように気をつけていても、時間の経過とともに打ちやすい場所や痛みが少ない場所に、繰り返し打ってしまうことがあります。時々、インスリンボールが出来てないか、しこりや腫れがないか、確認してください。何かおかしいなと思ったら、すぐに主治医に相談しましょう。
インスリン療法は正しい注射法でより良い血糖コントロール目指しましょう。
利用者様でハイリスクだと感じられる方がいらっしゃる場合はすぐに担当医師に相談してみましょう。