コラム2019/10/08
緩和ケアについて Vol.1
緩和ケアについて Vol.1
今回は「緩和ケア」について、取り上げてみたいと思います。一般的に緩和ケアと聞くと「がん」をイメージされる方が多いかと思います。。緩和ケアは「がん」の方でのみ使われる言葉なのかというとそうではありません。
緩和ケアの「定義」
まず、それぞれの定義を整理していきます。
「緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、クオリティー・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を改善するアプローチである。」
特定非営利活動法人日本緩和医療学会
「緩和ケアとは、重い病を抱える患者やその家族一人一人の身体や心などの様々なつらさをやわらげ、より豊かな人生を送ることができるように支えていくケア」
厚生労働省緩和ケア推進検討会
「病気に伴う心と体の痛みを和らげること」
整理すると、「がん」という言葉はなく、病気に伴う痛みのためにあるものと、いずれも定義されています。
「非がん」の緩和ケア
「がん」以外の緩和ケア対象疾患で代表的なのは、「心不全」です。
2018年4月に厚生労働省から公表された報告書「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方について」によれば、世界では成人の緩和ケアを必要とする疾患の1位が循環器疾患であり、日本でも心不全患者の7割以上が75歳以上を占めることがわかっています。また、WHOが2014年に発表した報告書によると、終末期に緩和ケアを必要とする疾患は、心不全を含む循環器疾患が38%で、がんの34%を上回っていることがわかりました。つまり、終末期には、「非がん」で呼吸困難や精神的苦痛から緩和ケアを求める患者さんも多いということです。
心不全の緩和ケアに対する取り組み事例
その他、国立循環器研究センター、久留米大学、飯塚病院の事例もありますので、下記をご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000192107.pdf
国は2018年度からがんやエイズに加え、末期心不全患者に医療機関が施す緩和ケアを診療報酬の加算対象にしています。さらに、日本でも心不全患者の7割以上が75歳以上を占めることから、今後在宅でも一層かかわることが出てくるのではないかと思います。Vol2では数ある痛みについて、取り上げていきたい思います。