コラム2023/09/11
パーキンソン病と食事について 注意点と看護のポイント
パーキンソン病は、神経系の障害により、患者の生活にさまざまな影響を与える疾患です。その中でも、食事に関する問題は特に重要です。
食事の日内変動への注意
パーキンソン病患者の飲み込みの状態は日内で変動します。症状が日中で変わるため、患者が食事を摂るのに最適なタイミングを見極めることが重要です。症状が軽減しているときに食事を提供することで、栄養摂取が改善されます。
適切な食事形態の選択
食事形態の選択は、パーキンソン病患者の生命に関わる重要な事項です。食物の送り込みが悪く、嚥下反射が遅い患者には、とろみをつける食事補助剤が有効です。また、パーキンソン病患者の多くが間食をしているため、3食のほかにも間食の食事形態の評価にも注意が必要です。
症状の日内変動に合わせた評価
パーキンソン病患者の病期と症状の日内変動は必ずしも相関しません。日内変動があるため、食事の評価を病期ではなく、患者の具体的な状態に合わせて行う必要があります。動きが良い時に食事を提供することが重要です。
疲労への配慮
パーキンソン病は疲労しやすい疾患です。食事前に十分な休息をとることが大切です。また、食事が時間がかかる場合は、量を減らして分けて食べると疲れにくくなります。食事の前半と後半で食事動作や飲み込みの状態に変化がないかを注視しましょう。
適切なポジショニングと環境調整
姿勢が悪化することがパーキンソン病の特徴であり、食事に影響を及ぼすことがあります。食事を取る際には、適切な姿勢を確保するために椅子や机、クッションを調整しましょう。また、食後に転倒しないように環境も整える必要があります。
食道逆流への対策
パーキンソン病は食道逆流のリスクを高めることがあります。胃や食道の働きが悪くなり、食物や胃液が逆流しやすくなります。逆流による食道の炎症や誤嚥を予防するために、患者に対して食後すぐに横にならないよう指導しましょう。
栄養状態の確認
パーキンソン病はエネルギー消耗が高い疾患であり、痩せている場合は栄養状態を確認しましょう。BMIや体重変動、生化学検査結果から適切なアセスメントを行い、必要に応じて栄養補助食品の提案を検討しましょう。
以上のポイントを考慮しながら、パーキンソン病患者の食事をサポートすることが看護の重要な役割です。患者の個別の状態に合わせて適切なアセスメントと介入を行い、食事を通じて彼らの生活の質を向上させましょう。
まとめ
パーキンソン病患者の食事管理は、慎重な計画と個別の配慮が必要です。病状の日内変動や疲労、食事形態の選択、食道逆流など、多くの要因が影響します。看護師は患者の状態を適切に評価し、食事療法を最適化するための支援を提供する役割を果たします。
パーキンソン病患者やその家族に向けて、適切な食事管理が生活の質向上に寄与することを伝えましょう。食事のタイミングや形態、姿勢の調整など、看護師との協力により、健康的な食事療法を実現できます。パーキンソン病と共に生活する皆さんに、健康と幸福を願っています。