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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

パーキンソン病における精神症状とその対処法

コラム2023/09/05

パーキンソン病における精神症状とその対処法

パーキンソン病は、運動症状以外にも精神症状を引き起こす疾患で、これらの症状は患者の生活や家族に大きな影響を与えます。主な精神症状にはうつ、アパシー、幻覚妄想、行動異常があります。以下にそれぞれの精神症状と対処方法を説明します。

うつ

 うつ症状はパーキンソン病患者の間で広く見られ、抑うつ気分や悲壮感などが特徴です。この症状はQOLや家族の介護負担に大きな影響を与えます。うつはパーキンソン病の病態に関連しており、特にドパミン神経系の異常が関与しています。治療にはドパミン受容体作動薬や抗うつ薬が使用され、症状の重症度に応じて選択されます。

アパシー

アパシーは意欲の低下を特徴とし、他のうつ症状や感情の偏りが見られません。この症状は前頭眼窩一帯状回一線条体前頭葉回路と中脳辺縁系のドパミン神経系の異常に関連しています。治療にはドパミン作動薬が一般的に使用され、リハビリテーションも効果的です。

幻覚妄想

幻覚妄想は夕方から夜にかけて多く、認知症を伴う症例では初期に幻視が現れることがあります。環境調整や部屋の照明の明るさを調整することが対応策として考えられます。また、薬物治療の調整も行われ、必要に応じて非定型抗精神病薬が使用されます。

行動異常

行動異常には衝動制御障害、ドパミン調節異常症候群、pundingが含まれます。これらの症状は特定の行動の過度な増加を伴います。治療には薬物調整が行われ、特に衝動制御障害の場合、ドパミン受容体作動薬の減量や変更が有効です。ドパミン調節異常症候群には持続的刺激療法が行われますが、pundingの治療についてはエビデンスが不足しています。
これらの精神症状は患者の個別要因や薬物治療によって影響を受けることがあります。治療においては患者の症状と状態に合わせてアプローチを調整し、家族のサポートも大切にする必要があります。パーキンソン病患者の総合的なケアがQOLの向上に寄与します。

まとめ

パーキンソン病は運動症状に加えて精神症状を引き起こすことがあり、これらの症状は患者の生活や家族に影響を及ぼします。うつ、アパシー、幻覚妄想、行動異常といった精神症状は、治療において個別のアプローチが必要であり、薬物調整やリハビリテーションなどが使用されます。患者の症状と状態に応じて治療を調整し、家族のサポートを重視することが、パーキンソン病患者のQOLの向上に寄与します。継続的なケアと支援が不可欠です。