コラム2023/08/10
認知症を知ろう!~記憶の奥深い仕組み:もの忘れと記憶障害の謎1~
認知症について関わることが多いため、多々理解されているかと思います。では、簡潔に認知症について人に説明はできますか?「もの忘れ」と「記憶障害」をエピソードを用いてお話しできる例を合わせて紹介します。
物忘れとは
私たちの記憶は、実はかなり曖昧なものです
たとえば、ちょうど見聞きしたばかりのことでも、すぐに忘れてしまったり、予定を思い出せずにうっかり欠席したり、普段使っている言葉が出てこなかったりすることがあります。
これらの経験は、だれにでもあるものです。
これらの状態は、一般的に「もの忘れ」と呼ばれます。
記憶障害とは、もの忘れとの違いは?
しかし、認知症の一種である「記憶障害」とはどういう状態なのでしょうか?
「もの忘れ」との違いは何でしょうか?
バスを使って会社に行く場面を考えてみましょう
普通なら「降りるバス停」や「会社に向かっていること」を覚えていますが、記憶障害の場合、そもそも「会社に向かっていること」すら忘れてしまうことがあります。
他には、例えば、「3月3日18時に友人と食事」という約束をしたとします。
しかし、忙しい仕事のせいで、その約束を忘れてしまいました。
後で友人から電話があり、「約束したことを思い出した」というのは「もの忘れ」の例です。
一方、同じ時間に友人から電話があっても、約束したこと自体を思い出せない状態が「記憶障害」です。
一般的なもの忘れの場合、少なくとも「覚えていた瞬間」を思い出すことができます。
しかし、記憶障害では、自分が何を考えたり行動したりしたのかを忘れてしまうことがあります。
たとえ自分の手帳に予定が書いてあっても、約束したことや書いたことを思い出せないので、その予定が本当にあったのかどうか疑念が生まれることもあります。
バスや電車から降りることができなくなる問題は、記憶のプロセスに何かしらの問題があるため起こることが考えられます。
つまり、記憶障害とは、「記憶のプロセスに障害がある」という状態を指すのです。