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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

体内のSOSサイン!悪心・嘔吐の仕組みを解剖せよ

2023/06/13

体内のSOSサイン!悪心・嘔吐の仕組みを解剖せよ

悪心・嘔吐のメカニズム

悪心・嘔吐のメカニズムついては、まだ解明されていない部分が多いものの、頭蓋内圧の高まりによる場合、食中毒など胃の有毒物を排出しようとする場合など様々な原因による刺激が延髄にある嘔吐中枢に伝わり、発現することがわかっています。

 

頭蓋内圧は脳腫瘍や脳出血などの体積増加を引き起こす病変が原因で増加します。また髄膜炎やくも膜下出血などが原因で髄液の循環が障害されて直接嘔吐中枢が刺激されるケースも存在します。

食中毒の場合は細菌が産生した毒素が化学受容器引金帯を刺激することで悪心・嘔吐が引き起こされます。

悪心・嘔吐の原因

癌患者における悪心・嘔吐の原因は様々ですが、大きく中枢神経系、消化器系、化学系に分類されます。原因の同定に病歴聴取や身体所見はとても重要で、そのうえで検査を検討します。血液生化学検査は在宅医療の現場でも可能ですが、腸閉塞や脳腫瘍などの診断には画像検査が必要になります。積極的な治療(手術や放射線治療など)が症状緩和に結びつくこともあるため、治療できる病院などとの連携はとても重要になります。

癌患者における悪心・嘔吐の原因

癌患者における悪心・嘔吐の原因について、責任部位と代表的な原因は以下の通りです。

大脳皮質

頭蓋内圧亢進、髄膜刺激、不安・予期性嘔吐など

前庭器

薬物(オピオイドなど)、頭蓋庭への転移、頭位変換

化学受容体・トリガーゾーン

抗がん薬、オピオイド、腎不全、肝不全、電解質異常

消化管

消化管蠕動低下・胃内容停滞、機械的消化管閉塞、胃炎・胃潰瘍

病歴から推測される悪心・嘔吐の原因の例

病歴聴取や身体所見から原因を推測します。

・体動的増悪:前庭系が原因

・頻尿、口腔内乾燥:糖尿病、高カルシウム血症が原因

・精神状態の変化:電解質異常、尿毒症、頭蓋内病変などが原因

・朝に増悪:頭蓋内病変が原因

まとめ

悪心・嘔吐は様々な原因によって引き起こされ、それに対しての治療法もケースによって変わってきます。患者様、利用者様からの訴えがある場合にはすぐに医師に相談するようにしましょう。