コラム2023/06/12
甘酒は飲む点滴?甘酒で健康アップの秘密
甘酒は、米や米麹を原料として作られる伝統的な日本の飲み物です。米麹によって発酵させることで、ビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富に含まれています。
今回は甘酒の秘められている健康効果の可能性についてお伝えします。
甘酒には栄養分が凝縮されている
主食であるお米の糖質は体や脳を働かせるために不可欠なエネルギー源の一つですが、炭水化物以外にも食物繊維やたんぱく質、ビタミンB群、鉄、マグネシウム、カリウム、亜鉛といったミネラルなどさまざまな栄養素がお米には含まれています。
お米の栄養が凝縮されている飲み物として、近年人気を集めているのが甘酒です。
甘酒は2種類ある!自然な甘みの「米麹甘酒」、栄養価が高い「酒粕甘酒」
甘酒の作り方は大きく分けて2種類です。
米麹を使って発酵させた「米麹甘酒」と、酒粕で作る「酒粕甘酒」があります。
含まれている成分は似ていますが、それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。
米麹甘酒の特徴
麹菌が繁殖する際に多くの酵素が分泌されます。
その酵素によって米に含まれるでんぷんが分解され、脳や体のエネルギー源となるブドウ糖などに変化します。
ブドウ糖は点滴に欠かせない成分の一つであることから、米麹甘酒が「飲む点滴」と呼ばれるようになったという説もあります。
ブドウ糖によって砂糖などを足さなくても自然な甘味を感じられるのも、米麹の特徴です。さらに米のたんぱく質から作られるアミノ酸は甘酒のうま味のもとになります。
酒粕甘酒の特徴
酒粕は、酒米を醸造させて日本酒を作る過程で、もろみを搾った後に残る副産物です。
白色の固形物で、板状や練り状などさまざまな形状で市販されています。
酒粕甘酒はこの酒粕を溶かし、砂糖などの甘味を足して作られたものです。
なぜ甘味を足すかというと、もろみを搾った後の酒粕には糖質があまり含まれていないからです。
一方で、日本酒を造る際に酒粕は、麹菌と酵母菌の2種類の菌を発酵させているため栄養価が高いのがメリットです。
特に食物繊維やビタミンB群、たんぱく質などが多く含まれています。
ただし甘酒にした場合もアルコール分は酒粕の10%強残るといわれ、煮沸してアルコール分を飛ばしてもごくわずかな量が残ります。アルコールを受け付けない体質の人は避けたほうがよいでしょう。
疲労回復や整腸などの効果に、特に期待大
夏バテ予防や疲労回復などに効果が期待できるのは、米麹甘酒と酒粕甘酒のどちらにも含まれる「アミノ酸」と「ビタミンB群」の働きです。
アミノ酸
アミノ酸は体のエネルギー源として不可欠な成分で、疲労回復や体力増強、筋肉量の増加などさまざまな働きを担っています。
体内で作ることのできない必須アミノ酸が含まれているほか、酵素によって体に吸収されやすい形に分解されているため効率よく摂取することができます。
ビタミンB群
糖の代謝や脂肪の燃焼を促す作用があり、高血糖や高コレステロールなどを改善する効果が期待できます。
またエネルギー代謝にも重要な役割を担っており、ビタミンB群が不足することで疲れやすくなったり、だるさを感じやすくなったりすることも。甘酒をコンスタントに取ることで疲労による不調の予防効果が期待できます。
食物繊維
腸内の善玉菌のエサとなって善玉菌を増やすほか、便通にも効果的です。
便のかさを増やし、スムーズな排便を促す、腸内の有害物質を吸着して便とともに排出するといった働きがあります。
さらに、食物繊維が分解されてできた短鎖脂肪酸が大腸の粘膜で細胞の増殖などのエネルギー源になり、ポリープや腫瘍などの発症を防ぐと言われています。
菌
甘酒には麹菌や酵母などの「菌」も多く含まれています。
これらの菌のほとんどは胃を通過する際に胃酸で死んでしまいますが、死骸は腸の中で善玉菌の栄養分となります。結果的に善玉菌を増やすことになり、腸内環境の改善に役立つと考えられます。
まとめ
甘酒には栄養素が含まれているため、健康や美容の観点から摂取することで、体に良い影響を与える可能性があります。ただし、大量摂取は糖質の取り過ぎやカロリー過多につながる場合もあるので気をつけましょう。