コラム2023/06/05
目の前がぐるぐる?立ちくらみの原因と対策について
目の前が急にぐるぐるしたり、暗くなったり、立ち上がったときに軽いめまいやふらつきなどを感じたことはありませんか。
頭からスーッと血の気が引くような感覚や、気が遠くなるような感覚など、人によって感じ方はさまざまですが、多くの方が「たちくらみ」を経験したことがあるかと思います。
立ちくらみには、脳の病気や体質、急激な血圧の変化、自律神経のトラブル、天候の影響など、さまざまな原因が考えられますが、今回は、梅雨の時期ということもあり、雨の日にも増えることが多い、立ちくらみについてご説明させて頂きます。
立ちくらみの原因は?
血流低下によるもの
立ち上がると、重力によって下半身に血液が集まりますが、通常は、自律神経の働きによって、下半身の血液を心臓に戻して血圧を保ち、上半身や脳への血流が促されています。
しかし、何らかの原因で自律神経の働きが低下すると、血圧を維持しにくくなり、心臓から脳へ送り出される血液の量が減少します。
このようにして、脳に血流低下が生じると、立ちくらみが起こりやすくなるといわれています。
疲労やストレスなどで自律神経のバランスが乱れている時、脱水を起こしている時などは特に血流が低下しやすく、立ちくらみが起こりやすくなります。
また、次のような場合に血圧が低下し、立ちくらみが起こりやすいので、立ち上がる時には注意が必要です。
・食中・食後 血液がおなかに集まりやすくなります。
・トイレの後 特に排便後は血液が下半身に集まりやすくなります。
・入浴後 下半身に血液が集まりやすくなります。
・長時間座った後 下半身に血液がたまりやすくなります。
・飲酒後 下半身に血液が集まりやすくなります。体のバランス機能も低下し転倒を招きます。
「耳石器」の異常によるもの
内耳には重力や体の方向など直線加速度を感知する「耳石器」という器官があります。
この耳石器に何らかの異常が生じると、立ち上がった時に上下方向の感覚が変調をきたし、立ちくらみが起こりやすくなります。
なお、耳石器の異常は、頭を動かした時などにぐるぐる回るような回転性のめまいを起こす「良性発作性頭位めまい症」や、日常生活に支障をきたすほどの回転性めまいを繰り返し起こす「メニエール病」などの耳の病気が原因になります。
立ちくらみの背後に病気が隠れている可能性も
前述のように、長時間座りっぱなしだった時や疲れている時、あるいはトイレや入浴の後などのタイミングで立ちくらみが「弱く」「時々起こる」程度なら、健康面において特に心配はありません。
しかし、立ちくらみが「強く」「多い」場合は何らかの病気の可能性が考えられるので、医療機関を受診することが大切です。かかりつけ医がいる場合は、まず相談してみるとよいでしょう。
立ちくらみの原因となる病気は?
・循環器疾患<不整脈、心臓弁膜症など>
・脳神経疾患<てんかん、椎骨脳底動脈循環不全、パーキンソン病、多系統萎縮症など>
・内耳疾患<良性発作性頭位めまい症、メニエール病、突発性難聴など>
・起立不耐症<起立性低血圧、体位性頻脈症候群など>
立ちくらみの予防法とは?
立ちくらみしやすい人は、なるべくゆっくり動く
立ち上がるときや起き上がるとき、座るときは、ゆっくりとした動作を心掛けましょう。
低血圧になっている朝は特に、寝ている状態から急に立ち上がらないようにしましょう。
入浴時、湯船から上がるときも意識してゆっくり動くのがベターです。
また、長時間立ったままでいないようにすることも立ちくらみを防ぐひとつの手です。
生活習慣を見直し、自律神経のバランスを整える
ストレスや疲れ、季節の変わり目などで自律神経のバランスが乱れると、血圧の調整がうまくできなくなり、立ちくらみが起きやすいといわれます。
規則正しい生活やバランスのとれた食事を心掛ける、ストレスや疲れをためない、アルコールを控える、普段から低血圧の人は水分を多めに摂るなど、基本的なことができているかどうか確認してみるとよいでしょう。
下半身の血液が押し上げられるのを助ける
下半身の血液が押し上げられるのを助ける適度な運動で下半身を鍛える、弾性ストッキングを履くなどして血流のサポートをしてあげることも大切です。
屈伸運動、かかとの上げ下げなども効果的です。
まとめ
たちくらみは様々な理由により起こりますが、原因を特定することはなかなか難しいかもしれません。
また、立ちくらみだと思ったものが失神である場合などは、思わぬ病気が隠れている可能性もあるようです。
気になる場合は、必ず専門医を受診しましょう。