コラム2023/04/10
鼻呼吸の重要性!3つの役割とは
口で呼吸すると、くちびるがカサカサになったり口の中が乾燥したり、感染症のリスクが高くなったりするなど、さまざまな弊害があると指摘されています。
哺乳類である人間は、鼻で呼吸を行うのが本来の姿といわれています。
鼻は加湿器、空気清浄器、エアコンの3つの役割を持つ
1.加湿機能
くちびるがカサカサになる原因の一つが、口呼吸による乾燥です。
鼻水は1日に約1?も分泌されています。
そのうち約7割は、鼻を通る空気を加湿するのに利用されます。
鼻水が取り込んだ空気に湿り気を与えることで、体内に入る空気の湿度は90%以上に高められます。
しかし口呼吸では、これほど湿度を上げることができません。
鼻呼吸の場合より口呼吸のほうが口腔内を乾燥させてしまい、その影響でくちびるもカサカサになってしまうという専門家もいます。
くちびるが荒れて気になる人は、口呼吸になってしまっていないかを、確認してみましょう。
もちろん、ほかの原因でくちびるが乾燥してしまうこともあります。
2.空気清浄機機能
鼻は、空気をきれいにする働きも持っている
まず、ホコリなどが体内に侵入するのを防ぐのが鼻毛です。
そして鼻粘膜に生えている微細な線毛と粘液層が、細菌やウイルスなどを捕獲します。
つまり、鼻から入った空気はこれら異物の多くが除去され、いわば空気清浄器から放出された空気のような状態になっているのです。
粘液には抗体があるため、細菌やウイルスが粘膜の細胞に付着したり侵入するのを防ぎます。
風邪やインフルエンザは、病原体が細胞内や粘膜で増殖することで発症しますので、鼻から入った空気は、口から入る空気より、感染症にかかるリスクが少なくなるのです。
3.エアコン機能
鼻から呼吸することで、空気が温められます。
その温度は35~37度にもなります。
口呼吸ではここまで温められることがなく、冷たいまま肺に届けられてしまいます。
すると、肺の免疫力が低下するリスクにつながったり、肺にかかる負担が大きくなってしまいます。
口呼吸の弊害
口呼吸では、鼻呼吸ほど異物を取り除けないほか、温度や湿度も高められません。
喉の奥にはリンパ組織があり、通常であれば免疫がはたらくのですが、鼻で排除されるべき異物まで喉に入ってくると、除去しきれなくなってしまう場合があります。
すると気道が細菌やウイルスに感染する危険性が高まり、風邪やインフルエンザにかかりやすくなってしまいます。
また、てのひらや足の裏にアトピーのような湿疹ができるのも、口呼吸が原因の一つだという専門家がいます。口呼吸で扁桃が炎症を起こしやすくなるため、免疫が低下するからというのです。さらには口呼吸の場合、歯肉炎などを起こしたり、虫歯になりやすくなるといったことも指摘されています。これは口の中の乾燥が影響するからです。
ほかにも花粉症や喘息などさまざまな病気を、鼻呼吸に戻すことで治そうという試みも行われています。
鼻がつまってしまっている場合はどうしたらいいの
慢性的に鼻がつまっているのでなければ、鼻を温めることで解消できることもあります。
お風呂の温度より少し高いぐらいのお湯にタオルを浸し、絞ってから鼻に当ててみましょう。
脇の下を刺激するという方法もあります。
鼻がつまるのは、鼻の中の粘膜が炎症を起こしてうっ血している場合が多く、交感神経を刺激して血管を収縮させ、うっ血を解消するというものです。
握りこぶしを反対側の脇の下に挟む、500mlのペットボトルを挟む、などいくつかの方法がありますが、どちらの場合もつまっている鼻と反対側の脇の下に挟むことがポイントです。交感神経は、右の鼻は左の脇の下、左の鼻は右の脇の下、というようにクロスしてつながっているためです。
ただ、脇の下には太い血管が通っています。脇の下に握りこぶしやペットボトルをはさむ場合には、血流をあまり遮断しないよう、10~20秒程度にとどめるほうがいいでしょう。
横向きで寝ているときに、上側になっている鼻のつまりが解消されることがあります。
これも、右肩を下にして寝ていると、右脇の下が刺激され、左の鼻のつまりが解消されるからだといわれています。
しかし、慢性的に鼻づまりを起こしている場合は、ポリープのようなものができていたり、副鼻腔炎などほかの病気が原因であることも考えられますので、その場合には、専門医を受診しましょう。
子どもの口呼吸のリスク
子どものころから口呼吸が当たり前になってしまっていると、さまざまな心配ごとが出てきます。
起きているときに口呼吸が癖になっていると、睡眠中にも口呼吸をしがちになります。空気が乾燥する冬の時期には、睡眠中の口呼吸によって咽頭内が乾燥し、朝起きてからのどの痛みを訴える子どもが増え、病院を受診することが多いといいます。こういった症状の場合は、普段の呼吸を鼻呼吸に戻すだけで、再び通院する必要のないケースもあるようです。普段行っている呼吸が、口呼吸と鼻呼吸のどちらがいいか、明らかでしょう。
口呼吸の場合、歯列や咬合が正常でなくなることがあります。口呼吸で口を開けている時間が長くなるために、口輪筋による前歯の舌側への作用が弱くなり、歯がくちびる側へ傾斜するようになります。これは乳歯だけでなく、永久歯でも起こります。
また、口呼吸をしていると咀嚼機能が低下します。そのため嚥下障害や消化障害も引き起こしかねません。また、咀嚼しているときにくちびるが開いているため、音を立てて食事をするというマナー上の問題もあります。給食中にクチャクチャ音を立てて食べていると、同級生からの視線がどんなものか、親でなくても心配になってしまいます。
まとめ
鼻は加湿器、空気清浄器、エアコンの3台を合わせた優秀な機能をもっております。
無意識で口呼吸をしている方は、意識的に鼻で呼吸することを心がけてみましょう。