MENU

医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

鳴かぬなら鳴かせてみようのホトトギスについて

コラム2023/04/11

鳴かぬなら鳴かせてみようのホトトギスについて

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康を比較することわざとして耳にする「鳴かぬなら ○○○○ ホトトギス」ですが、このホトトギスの漢字って書けますか?

今回はホトトギスについてのお話です。

ホトトギスについて

ホトトギスは、全長が28cmほどの夏鳥です。

中国・インド・アフリカなど広範囲に生息していますが、5月ごろになると日本に渡来します。

頭部から背中にかけては少し青みがかった濃い灰色で、胸部から腹部にかけては白色です。

胸部と腹部の黒い横しまや目の周りの黄色いアイリングが特徴です。

『かっこう』とよく似た体形や色彩をしていることでも知られています。

ホトトギスは、ウグイスが生息している森林やその周辺の草木が生い茂っているやぶなどで見られます。

巣を作らず、ウグイスの巣に卵を産み、育ててもらう『托卵』という習性があるためです。

秋ごろになり繁殖を終えると、日本を離れて越冬のため南に向かいます。

ホトトギスは万葉集にも登場するほか、数多くの俳句や短歌に用いられています。

俳句や短歌にも数多く登場しています

初夏の季語

初夏に日本に渡来してくるホトトギスは、古くから初夏の風物詩として捉えられていました。

そのため、初夏の季語として数多くの俳句や短歌に登場しています。

江戸時代の俳人である山口素堂の句に、『目には青葉 山ほととぎす 初鰹』があります。

江戸の人々が、初夏を感じていた物を詠んだ句です。

初夏のみずみずしい木々を眺め、ホトトギスの鳴き声を聞きながら、旬のカツオを堪能していたのかもしれません。

万葉集

万葉集に収められている歌に、『鶯の生卵の中に霍公鳥 独り生れて 己が父に 似ては鳴かず 己が母に 似ては鳴かず…』という一文があります。

霍公鳥は、ホトトギスの漢字表記の一つです。

托卵のため、誕生したヒナが父母のようには鳴かない様子を詠んでいます。

戦国三英傑の句で有名

数えきれないほどの文学作品に登場するホトトギスですが、広く知られているのが戦国三英傑を詠んだ三つの句でしょう。

織田信長:鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス

豊臣秀吉:鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス

徳川家康:鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス

 

三英傑それぞれの人間性や天下統一への戦略の特徴を表現しています。

短気で残忍な信長、努力家で要領がいい秀吉、保守的で忍耐強い家康というのがイメージでしょう。

これらの句は、平戸藩第9代目藩主である松浦静山の随筆『甲子夜話(かっしやわ)』に出てきます。

20年間にわたり書き続けられた278巻もある『甲子夜話』は、江戸時代を代表する随筆の一つです。

ホトトギスの漢字は複数ある

『不如帰』『時鳥』『子規』『杜鵑』『郭公』『杜魂』『蜀魂』などなど。

『不如帰』を目にしたことは多いのではないでしょうか。

なぜこうも種類が多いのかですが、当て字になっている理由がそれぞれあるからです。

いくつかご紹介させていただきます。

不如帰

不如帰は、『帰るに如しかず(かえりたい)』という意味で、中国の故事に由来があります。

古代中国の蜀の望帝・杜宇が、家来の妻と不貞を働いたために退位させられます。

望帝は不徳を恥じ国を逃れたものの、その後復位を望みますが叶わずに亡くなり、ホトトギスに姿を変えて『不如帰(かえりたい)』と泣いたというのがストーリーです。

国に帰りたいけれど帰れなかった望帝の悲しく不幸な人生が、縁起がよくないとされる理由の一つです。

盛唐以降の漢詩にはホトトギスが頻繁に登場し、望郷の念を募らせる鳥として詠まれています。

時鳥

ホトトギスというと、不如帰よりも『時鳥』という表記を思い浮かべる人が多いかもしれません。

日本にホトトギスが渡来する時期は、田植えを開始する時期でもあります。

ホトトギスは毎年同じ時期に渡来するため、『田植えの時期の到来を告げる鳥』という意味で時鳥と表記されたのです。

古今和歌集には、『いくばくの 田を作ればか 時鳥 しでの田長(たをさ)を 朝な朝な鳴く』という一首が残されています。

ホトトギスが田植えを監督する田長に早急に田植えを開始するように鳴いているという意味です。子規

子規というと、日本を代表する文学者の一人である正岡子規を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

子規はペンネームで、ホトトギスの漢字表記の一つなのです。

子規は、ホトトギスを意味する漢語で、ホトトギスの鳴き声や習性からこの字が当てられたと考えられています。

正岡子規が残した俳句の中に、『卯の花の 散るまで鳴くか 子規』という句があります。

当時は不治の病とされていた肺結核を患い、長く生きられないことを知り、自身をホトトギスに重ね合わせた句です。

ホトトギスの口の中がまるで血を吐いたように真っ赤であるため、結核で血を吐き苦しむ自身を重ねたとされています。

まとめ

いかがでしょうか。調べ始めると、実はホトトギスの当て字には20種類以上の異名があるそうです。今回はすべてをお伝えしていませんが、気になる方は調べてみても良いかもしれませんね。