コラム2023/03/13
経済的負担の軽減のための基本的な制度のおさらい
在宅療養生活は入院生活に比べれば経済てくな負担は軽いものの、外来受診に比べると割高となります。また、その療養生活が長期化する患者も多い為、無理なく生活を続けられるようできる限り経済的負担を軽減させてあげることが肝要となります。
福祉給付金資格者証
名古屋市内にお住まいの方で条件を満たした方は福祉給付金資格者証の交付を受けることができ、医療負担が0割負担となります。
対象者は、市内に住所を有する後期高齢者医療の被保険者または70歳以上の方で、
1.ベッド上での生活(ねたきり)、または認知症の症状が中度以上3か月以上継続している方(所得要件あり)
2.介護度が要介護4以上の方
また、年齢が70歳以上でなくとも障害者手帳をお持ちの方も福祉給付金資格者証を取得することが可能です。
1.身体障害者手帳3級以上をお持ちの方
2.精神障害者保険福祉手帳2級以上をお持ちの方
特定疾患
2017年4月以降、330疾患を対象とし、対象患者は医療費助成制度の対象となります。
疾患ごとに診断基準があり、主治医の診断に基づき都道府県に申請し、認定されると“特定疾患医療受給者証”が交付されます。交付を受けることができれば、訪問看護や処方の費用も含めた医療費の自己負担が全額もしくは一部軽減されます。
受給者証の有効期間は基本1年間で、毎年更新の手続きが必要となります。
<在宅医療利用患者で出会うことが多い疾患>
・パーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
・多発性硬化症
・筋萎縮性側索硬化症
・脊髄小脳変性症
・多系統萎縮症
・悪性関節リウマチ
・拡張型心筋症
・特発性間質性肺炎
・重症筋無力症
身体障碍者手帳
身体障碍者手帳は身体障碍者福祉法に基づき交付されます。障害分類には、視覚障害、聴覚または並行機能障害、音声機能・言語機能または租借機能の障害、肢体不自由(上肢機能障害、下肢機能障害、体感機能障害)、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害、心臓機能障害、腎臓機能障害、呼吸器機能障害、肝臓機能障害、小腸機能障害、膀胱または直腸機能障害、ヒト免疫不全ウィルスによる免疫機能障害があります。
在宅医療利用患者で最も出会う機会が多い肢体不自由は1~7級に分けられ、それ以外で多い心臓・腎臓・呼吸器などの内部障害は1~4級に分けられます。
<手帳取得のメリット>
- 等級に応じた福祉サービスを受けられる
- 3級以上で医療費負担なし
- 条件を満たせば特別障碍者手当を受給できる(2級以上の障害の重複)。
- 障害年金の受給
- 生命保険加入者の場合、所定の高度障害状態になると高度障害保険金を受け取れる
※手帳申請の際には、症状固定まである程度の期間が必要になります。認定時期は障害の内容と程度によって異なり、重度の脳血管障害の肢体不自由であれば発症後約3カ月、廃用や加齢に伴う疾患での肢体不自由であれば6か月後が目安となっています。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害のため長期にわたり日常生活または社会生活への制約がある人を対象として、障害程度に応じて1~3級に分類します。また、障害等級は障害年金に準拠しています。更新は2年ごとに必要となります。
市内在住の方であれば、2級以上で医療費負担が0割となります。
<等級ごとの障害程度>
1級:日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度
2級:日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度
3級:日常生活または社会生活が制限を受けるか、日常生活または社会生活に制限を加えることを必要とする程度
※手帳申請の際には、療養期間が目安として6か月程度必要となります。
まとめ
今回は、経済的負担の軽減のために使える基本的な制度のおさらいについてお話しました。
経済的なお悩みは、我々が一番頭を悩ませる問題のひとつです。
使える制度を理解して、利用可能なものはどんどん活用していきましょう。