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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

高齢者総合機能評価(CGA)について

コラム2023/02/13

高齢者総合機能評価(CGA)について

高齢者総合機能評価(CGA)とは

我々医療・介護従事者が接する高齢者は全身臓器の予備力低下や恒常性維持機能の低下といった特徴を有し、複数の疾患を併発しています。

また慢性化した疾患の増悪や新たな疾患の発症、それによる安静・臥床の長期化、活動性の低下により容易に臓器や運動器の障害を引き起こしADLが低下します。さらに言えば、これらが放置されることで新たな疾患を発症する可能性もあります。しかし逆説的に言えば、我々が適切な介入を行うことができればそういったリスクを軽減することができます。

在宅医療の現場では単なる診断と治療にとらわれることなく、QOLを維持し安定した療養生活を送れるよう、患者・家族・介護者の視点に立ち全人的診療を行う必要があります。そのためには、疾患の評価だけではなく、患者の社会背景も含めた生活機能を総合的に評価することが必要になります。

CGAはその評価を行うためのツールです。

CGAの内容

CGAの内容は大まかに下記の4つに分けられます。

①  日常生活動作

・基本的ADL(移動・排泄・摂食・更衣・整容・入浴・階段昇降など)

・手段的ADL(外出・買い物・食事の用意・金銭管理・服用管理など)

② 精神心理機能

認知機能、情緒・気分、意欲、QOL、生きがいなど

③ 社会経済因子

介護者、同居者、キーパーソン、家族関係、居住状況、社会活動、家計事情など

④ その他

栄養状態、転倒歴、生活習慣など

在宅医療現場でも活きるCGA

在宅医療で関わる患者の抱える問題は多岐に渡ります。そういった問題を抱える患者に対してCGAを用いた多面的評価を行うことで、疾患だけではなく、患者・家族のQOLや介護負担なども考慮した患者ニーズの抽出、ニーズに合わせた治療方針の選択、介護サービスの提供など総合的なケアを施すことができるようになります。

また、考えられるリスクやそこから想定される問題も予測し、対策を講じることができます。

それ以外にも、CGAは連続性を有し経時的な評価が可能である点も特徴的です。

在宅患者は療養の長期化による療養場所の変更を伴うケースが多く、標準化された指標や点数化された指標を用いた継時的評価が可能な点は大きな利点と言えるでしょう。

<在宅医療現場におけるCGAの活用場面>

【生活機能の把握と問題の予測】

・多面的評価によるニーズの抽出、最適な治療方針の選択と介護サービス提供

・リスク因子の抽出と将来的な問題の予測、それに対する予防的対策

【生活機能の継時的評価】

・標準化された指標を用いた継時的評価

・介護サービスの効果的な利用とケアの効率化の促進

・病状。生活機能の悪化の早期発見

・生活機能悪化の要因の検証

【入院・療養場所の移行】

・在宅での療養状況の把握

・スムーズな退院支援と在院日数の短縮

・在宅復帰に向けた計画的なプランの実施

・退院調整時の療養環境の整備

・退院後の療養場所の選択

誰でも実施できるCGA

CGAは医師が行っても、医師以外の職種の方が行っても構いません。チーム内で話し合い、分担して実施プランを立てる方法も考えられます。

大切なことは、実施者がCGAを熟知していること、サービス担当者会議や情報連携ツールなどを用いて迅速に情報共有をすることです。

まとめ

今回は、高齢総合機能評価(CGA)についてお話しました。

在宅医療の現場で利用することでチーム内で標準化された指標を共有することができるとともに、療養場所の変更があった場合でも連続性をもって持続的に評価を行うことができます。ぜひ活用してみてください。