コラム2023/01/17
慢性呼吸不全
慢性呼吸不全とは
呼吸器不全とは、室内気で動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr(SPO2 90%相当)以下の状態を指します。
この呼吸不全の状態が1か月以上続く場合を慢性呼吸不全と呼びます。
慢性呼吸不全の原疾患
日本では慢性閉塞性肺疾患(COPD)と結核後遺症が慢性呼吸不全の原因の多くを
占めています。
HOT導入の原因疾患についての報告をみると、COPDが45%、間質性肺炎(IP)が
18%、結核後遺症、肺がんと続きます。
せっかくなのでCOPDについて少し触れておきます。
第1位のCOPDを引き起こす最大の原因は喫煙です。
喫煙をやめたとしても年齢を重ねると肺機能が低下します。
予防のためにはできる限り早期の禁煙が大切です。
増悪時には、高齢者では「入院」がガイドライン上勧められていますが、入院に伴うADL低下や褥瘡などを懸念して、在宅で初期治療を開始するケースも増えています。
しかし、初期治療の経過をみていく中でCO2ナルコーシスが疑われる場合、抗菌薬投与による感染コントロールが不良の場合、初期治療が奏功しない場合にはやはり入院を見据えての病院受診が必要になります。
慢性呼吸不全の経過観察で注目すべきこと
在宅で慢性呼吸不全の患者に関わる場合、下記のことに注目する必要があります。
- 呼吸数(軽度増悪に対しての呼吸数の増加に注意)
- 咳・痰(咳の状態、痰の量や色に注意)
- 労作時の呼吸苦(初期症状としての労作時の症状悪化に注意)
- 胸痛(狭心症、肺塞栓症、気胸、胸膜炎などに注意)
- 喘鳴・浮腫(喘息発作・慢性呼吸不全の増悪の原因因子となりうる心不全に注意)
- 体重(うっ血性心不全、栄養不足に注意)
- 便(便秘による腹圧上昇に注意)
- 頻脈・顔面紅潮・頭痛・傾眠傾向(CO2ナルコーシスに注意)
- 呼吸器感染症予防対策ができているか