コラム2022/12/05
“物忘れ”と“認知症の違い”
これってただの物忘れ?それとも認知症??
利用者さんと関わる中で、こんな悩みを抱く瞬間があったり、ご家族から相談を受けた。多くの方がこんなご経験があるはず。
今回は、そんな違いの見分け方を、当院の理事 加藤豊 医師が行った勉強会から抜粋して皆様にご紹介します。
物忘れと認知症の違い①
私たちの投げかける質問に対して、どのように回答するのかに実はヒントが隠されています。ニュアンスに違いに注目してみましょう。
<年齢に伴う物忘れ>
「食べたけど、おかずは忘れた」 / 「薬の名前は忘れたけどの飲んでるよ」 / 「物をしまったけど、どこにしまったか忘れちゃった」
<病気による物忘れ(認知症)>
「ごはん?食べてないよ」 / 「薬?飲んでないよ」 / 「物がなくなった。誰かに盗られた」
このように、“物忘れ”は体験したことの一部を忘れていることに対して、認知症は体験したことを全て忘れてしまう傾向があります。
物忘れと認知症の違い②
それぞれの特徴を簡潔に解説します。
<年齢に伴う物忘れ>
物忘れは、老化現象です。そのため治療法はなく、目に見える症状も“単に忘れやすいだけ”であるため日常生活に大きな支障はありません。
<病気による物忘れ(認知症)>
病気による物忘れ(認知症)は脳の病気です。
そのため治療法が存在します。
目に見える症状も物忘れだけでなく、“幻覚”、“大声”、“はいかい”といった精神症状も併せて出現する傾向があり、日常生活に大きな支障がでてしまいます。
認知症の症状
認知症の症状は陰性症状、中核症状、陽性症状の3つに大別することができます。
陰性症状
活力低下、不眠、食欲不振、会話の減少
中核症状
物忘れ
陽性症状
徘徊・暴力、介護拒否、妄想・異食、幻覚・幻視
認知症に付随する症状
下の図は認知症に付随する症状のイメージを表しています。
認知症の評価として行われる長谷川式スケールの点数と関連付けた
症状のイメージです。
認知症による物忘れが見られ始めるのが、20~24点あたりですが、認知症治療
の効果は早期発見のほうが大きくなるため、物忘れなどの症状がみられる軽度の
時点で治療を開始できれば、効果も大きく、治療の副作用も小さくなります。
※ちくさ病院 加藤豊医師が行った勉強会「認知症の基礎知識」のスライドより抜粋
まとめ
今回は、物忘れと認知症の違いについてご紹介いたしました。
発言のニュアンスの違いは日常の会話の中で得られるヒントですね!
認知症の場合は早期発見、早期治療がとても大事です。
ちくさ病院では、物忘れ外来を開設しています。
物忘れの症状等で気になった場合は、一度受診してみてください。