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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

きちんと眠れていますか?~不眠対策6か条~

コラム2019/08/21

きちんと眠れていますか?~不眠対策6か条~

きちんと眠れていますか?~不眠対策6か条~

睡眠とは、脳が必要とする脳のための時間といわれています。脳は情報処理を電気信号で行う臓器です。睡眠不足のときは、仕事がはかどらない、ミスをする、すぐに疲れてしまうと感じたことがあるのではないでしょうか。例えば、コンピューターを数日に一度は再起動させないと性能が低下するように、脳も一度は停止寸前まで下げなければ、情報処理能力が低下すると言われています。今回は高齢者の睡眠をテーマにお話しさせていただきます。

年齢と共に変化する睡眠

年齢と共に睡眠は変化していきます。若いころは学生時代はお昼まで眠っていた!そういった方も少なくないかと思います。逆にコメダ珈琲のモーニングを食べに開店からいらっしゃるのはほとんどがご高齢の方だそうです。私も幼い頃は、祖父と祖母が寝ている姿を見たことがなかったのをよく覚えています。体にはどのような変化が生じているのでしょうか。第一に、体内時計の加齢による変化です。高齢になるにつれて、血圧・体温・ホルモン分泌など睡眠を支える多くの生体機能リズムが前倒しになります。結果として、高齢者は若い頃に比べ早寝早起きになるという事です。高齢者の早期覚醒自体は病気ではありません。第二に、高齢になると深いノンレム睡眠が減って、浅いノンレム睡眠が増えるようになり睡眠が浅くなります。尿意やちょっとした物音などでも目が覚めてしまうのはこの為です。

高齢者の不眠の原因

このように、体内時計のリズムの乱れが引き金になり「早期覚醒」「中途覚醒」が起きている訳ですが、これらがどうして起きるのかをもう少し詳しく見ていきましょう。

◆睡眠の必要量が減る

高齢になると、仕事や育児などの日中の仕事が減少していきます。若い頃と比べて消費エネルギー量が少なくなり、必要とする睡眠時間を減っていきます。

◆最高体温が低下する

人の体は、一日の中で体温が変化しています。もっとも体温が低いのは起きる前で、最も高くなるのが夜休む前です。朝目覚めてから体温が上昇し、就寝前にピークになってからは、また低下していきます。体温を下げることでエネルギーの代謝が抑制され、脳を休ませることが出来ます。高齢者は最高体温が低く、体温を下げるのに必要な時間も短くなり、睡眠時間も短くなる傾向があります。

◆睡眠ホルモンの減少

睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の働きによって、人の体は眠気を感じます。年齢を重ねると、このメラトニンの分泌量が減少します。それによって、寝つきが悪くなる「入眠障害」や、寝てもすぐに目が覚めてしまう「早期覚醒」「中途覚醒」といった症状が現れます。

これら以外にも、退職、死別、独居などのストレスが原因の心の病気、治療薬の副作用、狭心症や心筋梗塞による夜間の胸の苦しさ、前立腺肥大による頻尿、皮膚掻痒症によるかゆみなど、さまざまな不眠の原因があります。またこれらの要因が、「眠れないことへの不安や焦り」を生み更に眠れなくなるという負のスパイラルを生んでしまうことも特徴として挙げられます。

不眠対策にちょっとした心がけ

普段の何気ない行動の中に睡眠のサイクルを妨げる原因が隠れていることもあります。患者様、ご利用者様の生活習慣を見直してみることも安眠へのアプローチとして大切な事です。まずは以下の6つのポイントを見直してみてはいかがでしょうか。

1.朝は起きたら太陽を浴びる

太陽光を浴びると体内時計がリセットされ、夜、自然に眠れるようになります。

2.夕方以降は激しい運動は控える

寝る時間帯になっても興奮状態が続いてしまい、目が冴えてしまいます。

3.寝る前にカフェインは取らない

カフェインは覚醒作用があり、寝つきが悪くなるだけでなく睡眠の質の低下にも繋がります。

4.テレビ、スマホは寝る一時間前まで

脳を刺激する為、寝る直前まで見ていると眠くなりづらくなります。

5.禁煙する

煙草に含まれるニコチンには、カフェインと同様の覚醒作用があります。

6.昼寝をする場合はどんなに長くても1時間以内

昼寝は一時的に脳を休ませる効果があり良い面もありますが、1時間を超えると夜間の深睡眠に悪影響を与えます。
これら以外にも、眠気がないのにやることがないから寝床に入ることもやめた方が良さそうです。寝つきが悪くなったり、中途覚醒が増えてしまう原因になります。

今回は高齢者の不眠について記載いたしました。十分な睡眠を取ることは、日々の充実感にも影響を与えます。不眠のお悩みをお聞きした際には、まずは生活リズムの見直し、規則正しい生活の意識から始めてみるのが良いかもしれません。