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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

仕事風景vol.1「悪戦苦闘!認知症初期集中支援チームの仕事」

コラム2019/08/01

仕事風景vol.1「悪戦苦闘!認知症初期集中支援チームの仕事」

仕事風景vol.1「悪戦苦闘!認知症初期集中支援チームの仕事」

8月に入り、暑さの勢いが増しております。今日の名古屋は最高気温は37°の予想で、連日、猛暑日になる見込みです。日中は、屋外での作業や運動はできるだけ控え、こまめな休憩と水分補給を欠かさずに、無理をしないように心がけてください。

さて、今回は、仕事風景と題して、当院で働く方々の仕事現場をお伝えします。今後、ちくさ病院の各職種の仕事風景をご紹介していきます。

第一回は、加藤先生が認知症サポート医として従事している「認知症初期集中支援チーム」のお仕事について、ご紹介させていただきます。

以下、加藤先生の執筆です。

いま、私がやっている仕事のなかで、最も大変な仕事のうちの一つが認知症初期集中支援チームです。名古屋市各区には地域包括支援センター(いきいき支援センター)があり、各センターには認知症初期集中支援チームという認知症の方のための組織が置かれています。私はそのチームのサポート医をしています。名前だけ見ると、いかにも軽い認知症の方の相談業務をしているように見えますが、実態は違います。実際には、地域の中で孤立し、ゴミ屋敷の中に埋もれた老人を救出(サルベージ)するような仕事です。
具体的にはまず、民生委員やマンションの管理人などの方から「近所におかしな高齢者がいる。」という通報が、我々のところに来ます。すると支援チームのメンバー(相談員)が高齢者の方の自宅にうかがいます。呼び鈴を押して、素直に出てきてくれればよいのですが、認知症であるという自覚がない人が多く、部屋に入れていただいたり、お話をうかがうのもひと騒動です。相談員の手には負えない、ということになると、いよいよ私の出動です。「区役所の方から健康診断に参りました!内科の医者です。」と、消火器の押し売り業者のようなセリフを叫びながらグイグイ部屋に入ります。すると中はゴミだらけ、おまけに異臭が立ち込め、床には得体の知れない液体が流れています。その上を、小さな虫が歩いていたりするわけですが、いちばん恐ろしいのは、エアコンが無かったり、たとえエアコンがあっても夏なのに設定が「暖房」になっていたりすることです。このような方の診察を行い、主治医意見書などの診断書を作成し、ケアマネージャーさんに頼んでケアプランを作ってもらい、何とか人らしい生活ができるように悪戦苦闘するのが私の仕事です。そして、最後に「認知症初期集中支援チームというより、手遅れ認知症対応困難チームだよ。トホホ、、、。」と嘆くのも私の仕事のうちの一つです。