コラム2019/07/08
2020年、いったい何が起こるのか?~オリンピックだけじゃない 医療問題~
2020年、いったい何が起こるのか?~オリンピックだけじゃない 医療問題~
先日はオリンピックの座席抽選がありましたね。在宅医療推進部メンバーは全員落選、我が家でも妻の実家も含め悉く落選しました…。日本のお家芸である「柔道」、10秒台の壁を越えた「陸上」、メダルの量産が期待される「水泳」など非常に楽しみな競技が盛りだくさんですね!さて、オリンピックは日本開催ということで活気立ってる一方、2020年問題という形で不安視される分野もあります。我々、医療や介護の分野でも気にされていることがありますので一度振り返ってみようと思います。
2020年問題ってなに?
2020年問題とは、不動産価値・労働環境の変化による仕事のあり方・教育改革による指導方法や学力向上の変革など、2020年を境に表面化することが予測される問題やリスクのことを指します。当然のことながら医療問題も含まれます。
2020年医療問題ってなに?
一般的にはその先にある2025年問題と言われ、そちらのほうが耳にしたことが多いのではないでしょうか。1947年から1949年生まれの「団塊の世代」が75歳以上になっている2025年ごろに起こると予測されるさまざまな問題を2025年問題といいます。「団塊の世代」は約800万人にのぼるとされており、現在の後期高齢者1,500万人と合わせると2,200万人を超えると予想されます。2025年になる前の2020年の時点でも医療従事者が減る一方で患者数が増えると言われています。
実際に数値で見てみると…
厚生労働省は先日、2017年の1日あたりの患者数を推計した「患者調査」を公表しました。全国の患者は入院131万3千人、外来719万1千人で、いずれも2014年の前回調査よりわずかに減少しています。
一方、在宅医療を受ける患者が18万人で、データがある1996年以降で最多を記録しています。調査は3年ごとに実施され、全国約1万4千の医療施設が対象です。2017年10月の特定の1日の状況を調べ、全国の患者数を推計したので目安にはなります。患者数は入院は2005年の調査から減少し、外来は横ばいの傾向が続いています。高齢者の増加で65歳以上の患者は増えていますが、10万人あたりの患者数の「受療率」は減ってきています。
受療率は減っていますが、厚生労働省の結果の概要を見ますと、年々65歳以上の高齢者の割合が増加していますので、ここの割合が今後数年で一気に変わると考えてもらえれば2020年または2025年問題の深刻性も一層分かると思います。
在宅医療の視点ではどうなの?
在宅医療を受ける患者は2008年以降、急速に伸びています。国が入院から在宅医療への移行を促していることなども背景にありますよね。在宅医療を受けた推計患者数は2017年に1日当たり約18万100人になりました。これは2014年の前回調査より2万3700人増え、統計を取り始めた1996年以降で最多となっています。住み慣れた地域で医療や介護を受けて暮らせるようにする政策を厚生労働省は進めていますので、次回調査の2020年にはより「入院から在宅医療などへの移行が増える」と考えられます。
まとめ
2020年は東京オリンピック、2025年には大阪万博と楽しみの多い出来事が待っています。楽しみだけではなく、それまでに着手しなければならない問題も多々あります。政府の政策により、今後増えていく高齢者対策として在宅医療の環境を整えていく流れになってきています。一方で、人手不足が明確であったり、簡単に入院させてもらえなくなったなど弊害も顕在化しています。変革と再生の最中にある日本で、今後数年で環境がかなり変わるのだろうと思っています。住み慣れた地域で医療や介護を受けて暮らせるように、一人一人が今、やるべきことを鋭く、深く、考え、新たな価値を創造していくことが大切なのではないでしょうか。