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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

介護ロボット34万台で2025年問題を解消?~科学は介護業界を救う~

コラム2019/07/02

介護ロボット34万台で2025年問題を解消?~科学は介護業界を救う~

介護ロボット34万台で2025年問題を解消?~科学は介護業界を救う~

今後、日本は全人口のうち27%が高齢者で構成される「超高齢化社会」になると言われています。この「超高齢化社会」に纏わる問題の一として、介護の人手不足があります。今日はこの人手不足問題のソリューションの一つとして注目されているロボット技術について考えてみようと思います。

介護の人手不足

厚生労働省の調査によれば、2025年には介護が必要な人達に対して、介護士の人数は約34万人不足すると推論しております。この人材不足問題に対して政府は、介護職イメージアップに向けた国策、働きやすい労働環境の整備、外国人人材の活用などの対応策を講じています。

介護ロボットの現状

介護人材の不足の問題に対して、介護ロボットが非常に注目を浴びているのはご承知の通りです。2011年に厚労省が福祉用具・介護ロボット実用化支援事業を開始したのが、介護ロボット開発の大きな契機だと言われています。その後政府はロボットの開発が促進されるように、助成金などで民間の開発事業をサポートしてきました。2018年度からこうした開発支援事業は「ロボット介護機器開発・標準化事業」として国の支援を受け、多くのロボットが登場することとなりました。

受け入れられない原因

国の積極的な支援を受け、介護ロボットの開発は進んでいるものの、一般的にはまだ普及していません。普及が遅れている理由はいくつか考えられますが、介護業界の経営者、現場担当者からは、「導入コストの高さ」や「ロボットや機械から想起される冷たいイメージ」が指摘されています。

価値観の転換が必要?

コスト面に関しては、まだまだ介護ロボットは需要が少なく大量生産が難しいことから、一台当たりの価格が非常に高額になってしまっているのが現状です。ニーズが高まり、注文が殺到すれば価格も落ち着く可能性が高いということですね。また、介護という仕事は非常に細やかな気遣いが要求されるお仕事です。人と人との触れ合いが大切な仕事に、感情を持たず、冷たいイメージがある機械・ロボットを使うことをためらうのは仕方がないことかもしれません。

それでは、「介護者を助けるロボット」ならどうでしょうか。介護をするのはあくまで人。ロボットはあくまで介護者のサポートをするだけの役割。これなら少しだけ、抵抗感がなくなりませんか?

【在宅型】見守りロボット

介護ロボットにはいくつかの分野があります。在宅介護において非常に注目されているのが見守りロボットです。在宅介護において使用する、転倒検知センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォームを指します。何やら複雑ですね(笑)簡単に言うと、体温変化や体勢の変化と言った変化を感知して、その情報を他の機器にリンクさせることで色々なサポートができますよということです。「転倒したよ」とアラームで知らせたり、発汗が多くなってきたからエアコンを付けてあげよう。体勢の変化が多いから、眠りが浅いよ。といった具合に、介護者が直接その方の所に行かなくても色々な事がわかったり、体調管理をしてあげたりできてしまうんです。これならば、ロボットが直接介護をするわけではありません。ロボットの持つ「冷たいイメージ」に抵抗感のある方も、見守りをしてくれる「介護チームの一員」という考え方ができそうじゃないですか?

まとめ

今回は見守りロボットだけを紹介しましたが、介護ロボットには非常に多くの分野が存在し、これらの技術は更なる進化を遂げるでしょう。一方、実用化となるとクリアしなければならない問題が山積です。現実的には、介護現場で、今のスマホレベルまで生活圏に馴染むまではもう少し時間がかかるかもしれません。自明ですが、ロボットが介護の世界を救う一つの可能性を秘めていることは間違いありません。それは、「冷たい介護」を助長するものではなく、介護をする側の負担を軽減し、よりよい療養生活を支援するための、新しい形なのではないでしょうか。テクノロジーの進歩と価値観の転換という両輪で、未来を見据えることが必要でしょう。

 

ちくさ病院も患者様の為に、最先端の技術に常にアンテナを張り、満足度の高い医療を提供し続けていきます。