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医療法人豊隆会ちくさ病院在宅医療

一日1万歩は本当に健康に良いのか?

コラム2019/06/18

一日1万歩は本当に健康に良いのか?

一日1万歩は本当に健康に良いのか?

いつもメルマガをご覧いただきまして、ありがとうございます。ちくさ病院の杉山です。
今回はテーマは「ウォーキング」です。

先日、当院の相談員の佐藤さんと大塚さんに、「1日多いときでどれくらい歩きましたか?」と質問しました。アイフォンの「ヘルスケア」アプリでチェックしてみると、一番歩いた日で、「28354歩」と表示されました。約3万歩です。これは、江戸時代の庶民に匹敵する歩数です。ちょっと頑張りすぎですね(汗)。
直近の調査では、成人の平均歩数は男性6846歩、女性5867歩です。
(厚生労働省「国民健康・栄養調査」平成29年)

ちなみに、「1日1万歩、歩くと健康によい」と聞かれたことが皆様もあるかと思いますが、明確な根拠はないそうです。迷信の起源を紐解くと、1960年代に日本で流行した歩数計の商品名「万歩計(Manpo-kei)」に一説があるのではないかといわれています。

実際に「健康によいとされる歩数」はどのくらいなのでしょうか。

米ハーバード大学医学大学院のグループが行った研究では、平均年齢72歳の高齢女性は、1日の歩数が4,400歩程度でも、2,700歩程度の人と比べて全死亡リスクが41%低いことが明らかになりました。

1日の歩数が増えるほど全死亡リスクはさらに低下しましたが、その効果は1日7,500歩前後で最大に達しました。つまり、7500歩以上歩いても、死亡リスクの低下には寄与しないということが示唆されています。

少なくとも今回対象とした高齢女性では、1日1万歩を目標とする必要はないとし、今後、患者さんにに運動を促す際には、歩数で指導するのがよいのではないかと提案しています。(「JAMA Internal Medicine」5月29日オンライン版)

「歩数」はスマホなどで簡単に測定できることから、まずは、ご自身が普段どのくらい歩いているのか認識することを習慣にしてみてはいかがでしょうか。