症例紹介 在宅医療2021/11/22
褥瘡事例 相談の翌日にスピーディーに訪問診療に介入し、家族らの希望に沿ったケース
利用者及び家族の状況
利用者: 90歳 男性 慢性心不全、COPD、褥瘡 認知症軽度 要介護3
家族構成:ほぼ寝たきりの妻と2人暮らし(主介護者は近くに住む娘2人)
訪問診療開始までの経過
本人は近医にかかりつけが有り、通院をしていた。
しかしながら、高齢であり下肢筋力低下、認知症状の進行と腰痛のため、自発的な活動ほぼなく臥床時間が長くなり、足踵部、右腰部などに褥瘡形成に至った。
かかりつけ医では外用薬(ユーパスタ)などで対処されたが、専門ではないということから訪問看護事業所経由で褥創治療の相談があり、当院の訪問診療開始となった。
本人の奥様はすでに当院からの訪問診療受けられていたため、娘さまも「この機会に相談ができて良かった」と安心された様子だった。
訪問診療開始後の経過
初診時の褥創部の状況
・右大転子部 stage Ⅲ、表面は一部黄緑肉芽→ハイドロサイドADジェントル銀 7.5×7.5cm
・右外果部 浅い褥創、表面は一部黄緑肉芽
・右アキレス腱~踵部 浅い褥創、表面は一部黄緑肉芽→ユーパスタ + ガーゼ + サラフィット
・左踵部の褥創はすでに軽快
その後、1週間後の診察の際には右踵部、右果部、左果部の褥瘡は改善傾向が認められたが、左足趾に新たに水疱形成を伴った褥瘡が出現した。
下肢の血流障害があり、治りが悪い印象であった。
将来的には施設入居も検討されているという話もあったが、診察日翌朝に転倒され救急搬送になった。
尿路感染症の疑いで入院となったが、MRSAが検出されたため、退院予定が延び、入院中に亡くなられた。
結果
相談を頂いた翌日には初診に入るという調整で進めたケースであった。
事例から学ぶ大切なポイント
ご本人・ご家族の希望や訪問看護事業所の要望に早期に対応し、介入ができていたことで、本人や家族の安心と信頼のもとにケアを提供できた。
ちくさ病院 総合内科医