症例紹介 在宅医療2021/11/09
在宅での輸血事例(名古屋市南区) 胸腺腫に伴う赤芽球癆に対し自宅で輸血を行った患者様のケース
利用者及び家族の状況
57歳女性(名古屋市南区) 夫、子供同居
主病
緑膿菌性肺炎の再燃、左上葉無気肺(腫瘤)、浸潤性胸腺腫、赤芽球癆、肺MAC治療後
SLE疑い、糖尿病、鉄過剰症
当院介入開始までの経過
2020年に入り、肺炎の再発を繰り返しておりほとんど入院で過ごしている状況であった。
またコロナウイルス蔓延防止の為長期面会禁止であり、浸潤性肺線腫の予後も読めない中でご家族との時間を持ちたいとの思いで訪問診療開始となった。
胸腺腫に伴う赤芽球癆に対し輸血目的で通院されていたが感染反復、酸素需要増加、ADL低下があり困難となってきた為、自宅での輸血を開始することとなった。
訪問診療開始後の経過
2020年5月29日 初回診察
在宅輸血について
胸腺腫に伴う赤芽球癆に対しMAP2単位2-3週ごとの輸血が必要。
Hb6.0台後半~7.0台維持を目標とする。
輸血に伴う鉄過剰症ありフェリチン2000以下で許容。
肝機能障害出現の際は輸血の間隔を3週間以上空ける必要性も考慮していく。
2020年6月5日
貧血評価のため採血施行。
7日間でどれだけ貧血進行したかを今後の参考にすることとした。(入院中は予想以上に貧血進行し前倒しで輸血したこともあった)。
Hb8.6→ 6.8 翌週の輸血予定日までにさらに進行することを考慮すると前倒しで輸血日を設定する必要があり、週明け6/8採血施行しその値を見て最終判断の方針。
2020年6月8日
Hb 6.7予想よりも貧血進行みられず
次回診察時の症状や所見考慮し1週間後の6/15採血するか検討する。
2020年6月12日
発熱あり。息苦しさと浮腫も増悪みられ炎症反応と貧血評価のため採血施行。
Hb 6.0 と数値的にはまだ経過をみれそうな印象だがご本人の呼吸苦が強いため前倒しで6/15輸血の予定とした。
2020年6月15日
MAP2単位輸血施行。
2020年6月19日
ご本人より「在宅での輸血後、楽になりました。」との発言あり。
2020年6月29日
MAP2単位施行
7/3採血し、貧血、炎症評価予定。
結果次第で次の輸血スケジュールを検討する方針。
2020年7月17日
MAP2単位輸血施行
7/25 に採血施行し貧血評価、クロスマッチ施行し7/27の輸血予定とする。
2020年7月27日
MAP2単位施行。
2020年8月11日
MAP4単位施行。
2020年8月14日
40℃近い発熱が続いており抗生剤の選択が難しい状態であること、入院することで喀痰のシナジー効果の検査など在宅ではできない検査が可能となること、耳鼻科的な処置が可能であることなど患者のメリットが多いためご本人、夫と相談し、一時入院となった。
結果
ご本人やご家族のご希望であった在宅診療、在宅での輸血処置を行った事例。
結果入院となったが、訪問看護様とも連携を取りご本人の状態に合わせ在宅でも迅速な輸血処置が行うことができた。