在宅医療の基礎知識2021/09/21
⑤パーキンソン病と食事の工夫
パーキンソン病の嚥下障害
パーキンソン病で亡くなる方の原因として、癌や生活習慣病などの別の疾患を除いて最も多い原因は“肺炎”ですが、その中でも誤嚥性肺炎が多くを占めています。
パーキンソン病患者の約70~90%に嚥下障害がみられるとの報告もあります。
しかし、パーキンソン病の嚥下障害は早期からみられるものの、患者本人が自覚していないことも多く、また喉の奥で起こるため気付かれにくいと言われています。
食事の基本的な工夫
パーキンソン病が進むと嚥下(飲み込み)障害によって、水分にむせやすくなったり、食べ物がのどに詰まりやすくなったりします。
そこで、調理の際は舌でつぶせる程度の硬さにして小さく切っておきます。
また、焼くより煮る方が柔らかく仕上がり、あんかけなどのとろみのついた料理は食べやすくなります。
食べる際には一口の量を少なくし、口の中のものを全部飲み込んでから次のものを入れるようにします。
詰まりやすい食品、むせやすい食品
次のようなものは詰まりやすい、またはむせやすい食品で、食べるときに注意が必要です。
・クッキー、カステラ、パンなどの水分が少ないパサつくもの
・もち、団子などの粘り気があるもの
・こんにゃく、イカ、タコなどの弾力があり、かみにくいもの
・握りずし、まんじゅうなどの一口で口に入ってしまい丸のみになりやすいもの
・のり、わかめなどの口の中に貼り付きやすいもの
・豆類などの小さくて気管に吸い込んでしまいやすいもの
・高野豆腐、油揚げなどのかんでいるうちに、水分がでてきてむせやすいもの
食事の際に自助具などを使用することも効果的
パーキンソン病では巧緻動作の低下により食具の動作等が円滑にしにくくなることもあります。
そのため食事の自助具を使用することも非常に効果的なアプローチです。
ばね付き箸や、先端を曲げたり、持ちやすいように太柄にすることのできるスプーンや、すくいやすいお皿、着脱が楽なマジックテープ付きのエプロンなど、
様々な自助具がありますので、色々と試してみましょう。
まとめ
パーキンソン病患者の嚥下障害の特徴として「自覚がない」というケースが非常に多くみられると報告されています。
食事の工夫以外にも、早期から口腔ケアやリハビリなどを行っていくことも大切です。