在宅医療の基礎知識2021/08/11
③ パーキンソン病の診断に必要なもの~診断の流れは?~
パーキンソン病の診断の流れ
パーキンソン病の診断開始はまずは神経内科医の問診でスタートします。
パーキンソン病を疑うきっかけになるのが、震え、歩きにくさ、動作の遅さ、体のこわばり、ろれつがまわらないなどです。
これらの症状は他の疾患が隠れていることも多くあります。
パーキンソン病と他の疾患では治療法も全く異なるため、しっかりと区別する必要があります。
どのように、パーキンソン病を適切に診断するのでしょうか。
国内外でパーキンソン病の診断基準が作られていますが、診断基準に共通する点は、まず「運動症状」の有無を確認し、続いて、パーキンソン病の裏付けとなる症状と、パーキンソン病以外の病気の裏付けとなる症状を照らし合わせて、パーキンソン病かそれ以外の病気であるかを判断します。つまり、“消去法”ですね。
他の病気ではないことを確認するための画像診断、血液検査、尿検査も行います。
これらの結果を厚生労働省が作成した診断基準と照らし合わせ、基準をみたしていれば、パーキンソン病と診断されます。
問診について
問診は医師からどのようなことをきかれるのでしょうか。
主な質問をご紹介致します。
■パーキンソン病の診断でよく訊かれること
・どんな症状で困っているのか
・症状はいつから始まり、どのくらい続いているのか
・症状の変化はあったか
・これまでにかかった病気、今かかっている病気は?
・今飲んでいる薬(市販薬や健康食品も含む)
・家族かこれまでにかかった病気。特に、家族の中に同じような症状が出ている人がいるか
・薬委によるアレルギーを起こしたことがある場合は、その薬品名
上記のような質問をされることが予測されるので、事前に確認してメモをとっておくなどすると診断がスムーズに進む可能性があります。
パーキンソン病の検査について
パーキンソン病の診断は問診で行われることが基本ですが、パーキンソン病と間違えられやすい他の病気を除外する目的で画像検査を行うこともあります。
画像検査において、CTやMRI検査を行うことで、パーキンソン病以外の脳の病気(脳血管障害や脳腫瘍など)の可能性を除外します。
また、MIGB心筋シンチグラフィーと呼ばれる、心臓の交感神経の状態を診る検査を行う場合もあります。
これは、MIGB(メタヨードベンジルグアニジン)というノルエピネフリンとよく似た物質を含む検査薬を服用したときにこの薬剤が心臓に集まる程度を画像が評価する検査です。
パーキンソン病の患者さんでは、この薬剤が心臓に集まらないことが知られているのを利用して、診断の参考にすることがあります。
まとめ
訪問診療においてもパーキンソン病の確定診断を受けることで訪問看護が医療で介入できれば・・・と考えるような場面があると思います。
診断の流れをしっかりと把握しておきましょう。